「それから、20になるまで…生き残ったみんなで力を合わせて、村を再興させ…」 「その間…私は何度白夜叉さまに恋い焦がれたのでしょう…」 「あの、村がなくなってからあなたたちは拠点を変えました……。あの日以来…会えることはなかったけど……」 「私にはあの時の一秒一秒が、今でも蘇ります……」 「あの時兎姫さまの頬を叩いたのは………やっ…と、見つけた……自分の居場所を……奪われたような気がした…から……」 「あの人の好きな……私の…好きな…白夜叉さまに……兎姫さまの…お美しい顔を見せたく…なかったから」 「……お疲れ様」 銀時は、自分の肩に凭れたまま眠ってしまった伊智の頭を撫でた。 「ここに来ていた時から知ってたよ。そんな事」 「でも、お前が知らない事を俺は知ってる」 ガラララ 「ただいま戻りましたー」 「あー疲れたネ。伊智−茶ー」 「あれ、銀さんいたんですか」 「ああ、まあな」 「あれ?銀ちゃん何泣いてるアルか。ぷぷっ」 「泣いてねーよテメッこれは鼻水ですぅ」 「どうしたんですか、その袋」 新八に指摘され、銀時は左手で握りしめていた小さな布袋を見つめた。 「お金アルか!?」 「あってめ、ちょ!」 神楽に素早く奪われ、取り返したい所だが、生憎自分の肩には寝ている伊智がいるため動けなかった。 「なーんだ。梅干しの種かヨ。しかもいつのやつね」 「神楽ちゃん?大人しく今すぐ返して?」 「はいはい」 「どうしたんですか?それ」 「ん……」 無事袋が戻って安堵のため息を吐いた銀時は、伊智の頭をもう一度一撫でしてからいちご牛乳を口にした。 「惚れた女が昔残してったもん」 20111121 [←] [→] back |