朝。 銀時が目を覚ますと、視界いっぱいに涙目の伊智の顔が見えた。 昨日の戦いでできた傷の痛みに耐えるように起き上がって、伊智の頭を軽く撫でた。 「どうした」 「っ………っ……う……くっ」 誰も目を覚まさない。 銀時と、伊智だけの空間。 「白夜叉っ…さまっ…………」 伊智は今にも涙が零れ落ちそうな目で、震える声で、いつもは真っ白なのに泥をつけた手で、ぼろぼろの形が崩れた白い塊を銀時に差し出した。 「今日のっ…………………おにぎりです…!!!!!!」 いつもはそれを受け取らない銀時は、初めてそれをゆっくりと手に取った。 ぼろぼろといくつかの米粒が零れ落ち、銀時はそれを零さないように一気に口の中に入れた。 「泥くせぇよ。…………梅娘」 [←] [→] back |