「と、言うことで過激派のようでもありませんでした。あのまま放っておいても大丈夫だと思います。人数は全部で17人。全員が刀を所持していました」

「へぇ、そう。じゃあそこの廊下掃除しておいて」

「(興味なしかよクソババア。その黒子もぎ取ってやろうか)…はい」


伊智は無愛想な顔をしながらも廊下の雑巾がけを始めた。
あの中での中心的存在はたぶん、4人。
一人は目がヤバい黒髪の男。
細目の長髪の男。
喋りが変な男。
白髪頭の天然パーマ。



「ヤバそうな顔してたもん。分かるし。邪気眼だから分かるし」

「何一人で厨二くさい事言ってるの」

「ぶっ!!!!」


シャーと心地よく長い廊下を雑巾で滑っていたら、兎姫にぶつかって尻もちをついた。



「お、お姉ちゃん」

「ちょっと来て」

「え?」


雑巾を握りしめて伊智は大人しく兎姫について行った。
辿り着いた先は庭。庭の長椅子に座った兎姫は、ポンポンと隣を叩いて伊智に座らせた。


「で、どうだったのよ」

「何がですか?」

「攘夷志士とやらよ」

「ああ…別に、今まで通りの人達でした」

「お腹は」

「え?」

「お腹は空いてないのかしら」

「いや、別に大丈夫だと思いますけど」

「アンタに聞いてないわよ」

「(何なんだよ…)自分で聞いてみればいいじゃないですか。ほら、ちょうど向こう側からよく見える」


庭の先は、廃寺の全貌が見れた。
複数の人が寺の中で走り回っているのが見える。
兎姫はボーッと廃寺を見つめ、ほうっと息を吐いた。



「…一目惚れ…って、存在するのね」

「………………………えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!?」



- 14 -

[] []
back