「ねぇ、兎姫さま…私のお父さんとお母さんはどこにいるの?」
「……伊智、私に質問するときは目を見ていいなさいよ」
「……無理だよ」
「何が無理なの」
「わかんない。でも」
「わからない?私は、曖昧な人間が一番嫌いなの。だから私は伊智のその質問には答えられないわ」
「…どうして?」
伊智は涙目で兎姫を見つめた。
兎姫はしゃがんで、伊智を抱きしめた。
「曖昧な答えしか見つからないから」
「本当の答えなんて、知らないから」
「伊智はきっと、こんな私の事を信じてずっと待ち続けるのでしょう?」
「こんな……人との接し方を忘れた私の事を」
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