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「姫ちゃん姫ちゃん!次あれ!あれ乗ろうよ!!」
「わかったわかった」

5月5日。快晴。
現在地は…ネズミーランドの某大型アトラクション前。

「まーな。そんなに走って…転んでも知らないよ?」
「転びませーんー」

週末に休みを取って、子供を連れてきているファミリーの気分だ。
なにしろここに小学生と見紛うほどの小さな、いや可愛らしい…いや、これでも一応16歳の女子高校生ではあるのだが。
隣のお兄さん(笑)が父親すっ飛ばして孫を見るお祖父さんのような眼差しで友人を見ているので、何かこうファミリーとも違うような複雑な関係性が見え隠れしなくもないですが。

とにかく子供連れのママさんと然程変わらないであろうこの心労をどうにかしてくれませんかねえ、真南さん。
右手にチュロス持って、左手にアイス持ってキャッキャしてるの見てるとその辺のお子様と大差ないですよ〜。

真生さんもあきれた顔でため息ついてはいるけど、何だかんだで鼻の下伸びてるし。

「こんなに喜んでる真南見るのも久しぶりかな」
「え?」
「ううん。こっちの話」

なぜだろう。
ぽつりとつぶやくその顔が、少し寂しげに見えたのは。

「マキさん」
「ほら、マナが呼んでるよ、姫ちゃん」

…気のせい、だったのだろうか。


それから絶叫マシーンとコーヒーカップを連続で乗る羽目になり、そろそろ脳をかき回され始めたころ漸くお昼にすることになった。
自分たちよりも無駄に動き回る友人の息一つ切上がっていないその姿に多少の感動を覚えたのは言うまでもなく。

それから、自分が現役の高校生にしては体力がなさすぎることにも少し反省。
普段から勉強や常識の面で友人を窘めているけれど、運動や健康面では見習わなければならない…と思う。少しだけ。
 

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mokuji
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