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私の机で予習を始める友人になんだかんだで英語のノートを写させてもらいながら、心の中では3日からの予定のことばかり考える。
明日からのゴールデンウイークが楽しみすぎてニヤけた顔が収まらない。

今まで出会わなかったタイプの彼女と居るのは、本当に退屈しない。
彼女は誰のことも特別扱いしないから。
この学校の皆を平等に「馬鹿」と思っているから。
言わないけれど、恐らくは彼女自身のことも。

自習なんて喧嘩か早弁か遊んで良い時間としか思っていなかった自分がプリントを真面目に提出したのはこれが初めての経験かもしれない。
感慨深いねえ。
しみじみ思う私の斜め後ろのほうで、低く「ダウト」と呟く声がした。

「ギャーこうちゃん強すぎ!」
「なんでわかんの」
「…100円ずつ」
「わかったって…くそー」

トランプゲームで賭け事。
目の前の友人は良い顔はしていなかったが、我関せずといったふうで特に反応は示していないようだ。
賢明な判断だと思う。
気にするだけ無駄だ。
ここは「そういう学校」なのだから。

「モリヤお前顔に出過ぎなんだよ」
「コミヤにだけは言われたくない」
「一緒にすんなよ」
「あぁもう喧嘩すんなよオマエら。俺上がりそーなんだから早く次カード出せって」

自習とはいえ授業中。
けれど教室に残っているだけましと言うものだ。
自由行動に徹している大半の生徒に比べれば、の話だが。

案の定、彼らに用意された課題をやる気は更々ないらしい。


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mokuji
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