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「わかった…分かりました。それで、あたしにどうしろと」
彼の腰の低さを心配しても仕方が無い(本当に)。
兎に角用件は分かった。
昨日の今日で何かあると思ってなかったわけじゃないけど希望的観測から言わせてもらえば「どうか私のことは放っといてくれ」。
これに尽きるのだが。
「とりあえず…缶コーヒー1本ご購入いただけますか。必要なことです」
「いやコーヒーなんか飲んだくらいじゃ落ち着かないから」
一瞬白目をむくかと思った。
何を隠そうモヤシが私に妙な指示を出してきたからだ。
「それから、黒猫の集会室へご同行いただければと。大丈夫です。5分で済みます」
「え、今?」
「ええ今です」
いや、休み時間は35分までなんだけどな?
あなた真面目そうなナリして不良なんですね。
つーか私の話聞いてました?
「ますますコーヒー飲んだくらいじゃ落ち着かないんですけど先輩」
もう3分経過してますが。
あと2分じゃその集会室とやらに着いたところでアウトじゃねえのかよ。
「え?ああコーヒーは黒瀧さんに献上するんです。入会金だそうです」
「あ?」
入会金、安ッ。
何そのお手軽な感じ、そんなんでいいの。
金とる意味もわかんないけどさ。
ああ違う、そうじゃなくて、そんなことより私はまだ黒猫に入るなんて一言も言ってな……
「あ。あと、城多さんから「どっちがいいのかよく考えてね」だそうです。これは僕にはよくわからないんですけど…あなたに言えば分かるって」
「…モヤシ先輩」
言い切る前に口を挟む。
未だかつてない低音が出た。
「え、僕笹沼…」
「モヤシ」
「は…はい」
私の声に下っ端が縮み上がる。
コイツ、誰かに似てると思ったら、あれだ。
あの青い猫型ロボットアニメの、野●のび太。
そっくりだ。
「私は不真面目な奴が嫌いなの。わかる?っすか」
「ひゃい…」
最早敬語に意味などない。
そのまま相手を放置して教室へ戻った。
予鈴は鳴ったばかりだ。
授業はまだ始まっていないかもしれない。
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mokuji
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