009

しかし残念なことにナルシストでシスコンだ。
友人くらいならなれそう…いや、わからないが。

「マナって本当マキさんのこと好きだよね」
「うん。真生兄になら、姫ちゃんのこと任せてもいいってくらいに思ってるよ」
「…謹んで遠慮させてもらう」

勉強が出来てもバカな奴はいっぱいいる。
そう口に出そうになったが、すんでのところで押し黙る。
バカでも友人の大切な家族だ。
侮辱しては失礼になる。…というかその後の真南が怖い。

「真生兄がダメならどんなのならいいの?姫ちゃんバイトもしてるんだし、ボディーガードは必須だよ」
「そんな大袈裟な」

だから、姫はやめろ。
わざとか。わざとなんだな。

「だって心配なんだもん。姫ちゃん危なっかしいから」
「あのさ、姫はやめてよ」

指の腹でボールを撫でる。
呼び名を訂正させようとする私に、むくれる真南の顔は曇っていた。

「中学で学級委員なんてクソ真面目なことやってたって聞いて納得したけど、曲がったことは大嫌い〜みたいなところ、あるでしょ」

正しくは小学校で三回ほど、中学では三年間、だ。
不真面目なつもりはないが、クソ真面目と言われるとあまり良い気分ではない。

「そんな立派な理想掲げてないよ。でも人に迷惑かけるって意味で不真面目な奴は嫌い」
「それって、ここの生徒全員嫌いってことじゃん」
「全員とは言ってない」
「同じ事だよ。…本当、気をつけたほうがいいよ」

真南は弄んでいたボールを私の額にコツンと押し付ける。
心配している、らしい。
私の考えを改めさせようというのだから相当だ。

「特に、黒猫」

「ニャー」真南は猫が爪を立てるような仕草で私にじゃれつく。

「頭の黒瀧って奴は前に説明したから知ってるよね?そいつがすげーバカなの。本当バカ。雪姫ちゃんみたいなツンデレ、好きそうだから心配」
「大丈夫。絶対近寄らないから」

真南には悪いが、どちらの勢力も不良に毛が生えただけのバカの集まりだと思っている。



14/52

*prev next
mokuji
しおりを挟む
index
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -