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「エルガ殿に関する噂は、本当だったのですね」

「噂?」

「はい。彼は数百年を生きているという噂が、前からあったんですよ」

ルーナはエルガが去っていった方を見て、話す。

「誰が見つけたのかわかりませんけど、エルガ殿の二百年前の日記が、書庫で見つかったとか」

「二百年前!?…ってことは、エルガ殿の年齢はそれ以上ということよね?」

それならば彼が相談役なのも頷ける。あの知識量は魔術師や人間の一生で得られるものではない。

ただ、数百年生きるということが一概に良いことだとは言えないと思う。
そのせいで、幾つもの死を見てきたはずだ。そして、今仕えるべき者はこの世からいなくなってしまった。

―――虚しくないのだろうか。

彼の胸の内に思いをはせていれば、後ろから声が掛かる。

「さて、そろそろ神殿に参りましょうか」

エルガがいつも通りの笑みを浮かべ戻ってきていた。

 

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mokuji
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