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「これは…?」

「この腕輪には、守護獣が封じられています。魔術師は魔力や属性に応じた守護獣が一体付くのですが、今回は例外ですので、勝手ながら、私が選ばせていただきました」

金色の腕輪を受け取ると、ふわりと光り、足元に白い毛玉が現れる。

「…兎?」
「ただの兎ではありません。その子は水の精霊です。水を自在に操る力を持っています」

抱き上げた兎は、青色の大きな瞳で私を見上げる。

「その兎はアークという名前なので、呼んであげてください。その腕輪は、フィスティルが終わるまでは、肌身放さずお持ちくださるようにお願いいたします」
ライルが言い終わったと同時に、部屋に風を伴った火の玉が突如現れた。
驚いて思わず悲鳴をあげてしまったが、ライルは「おやおや、相変わらずですねぇ」と普段と変わらぬ笑みを浮かべていた。
私たちの目の前で火の粉を散らしながらそれは大きくなる。

唄うような鳴き声が響いたかと思えば、炎は鳥の姿をとって私たちの前に舞い降りた。

「ナギル殿は、相変わらず派手に登場なさいますねぇ」

「貴殿の娘、私の扱い方が荒いぞ。誰に似たのやら」

「誰に似たのでしょう、あの子は…」

「間違いなくライルに似たのであろうよ」

ライルと火の鳥が普通に会話できていることに驚きを隠せない。

しかし、この火の鳥は何者なのだろうか?
ライル長官と普通に話しているのだから、炎の精霊で間違いないだろう。

「ナギル殿がいらしたということは、あちらの準備も整ったということですね?」

「そうだ。ラディアが張り切っていたぞ…『私の可愛い可愛い可愛い姪』とな」
火の鳥――ナギルは、そう言うと、ため息をつく。

「目に浮かびますね、その光景が…。お疲れ様です、ナギル殿」

ライルは、苦笑いしつつ労いの言葉をかける。

ナギルの榛色の瞳がエレーナを射抜く。

「おお、娘がエレーナか。確かにエスタリアに似ておるな。エレーナに一週間で結界の張り方を覚えさせろ」

そういって、火の粉を巻き上げ姿を消した。

「こちらも急ぎましょう。厳しくいきますが、ついてきてください」

エレーナはゆっくりうなずいた。

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mokuji
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