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彼女は、魔術を扱うに足りるか。魔術師とヒトの両の血を引くエレーナ様は、果たして真実にどう向き合うのだろうか。

「魔術師を知ることは、貴女にとって辛いことかもしれません。覚悟はおありですか?」

ライルは一人の魔術師として彼女に向き合う。

その瞳を探る。

―――覚悟は決めているようだ。力強い輝きは、あの方の在りし日を思い出させる。

おもしろい。

ライルはさらに顔に皺を刻む。

ライルが語るは、伝承の裏側。魔術師たちにしか口伝されて来なかった『真実』だった。

「本来、魔術師というのは星を読んで未来を知り、雲の流れに天候を垣間見るといった自然の力を読み解く一族なのです」

そもそも、魔術師がいつ誕生したのか定かではない。ただ、少なくとも千五百年以上前には存在が確認されている。

「アルスにしかいなかった魔術師を大陸中に広めたのが、初代ナディール家当主、レティシア」

伝承の中のレティシア様は、幼なじみと勇者と共に大陸を旅して、最後に魔王を封じ、破滅の予言をした、と伝わるのみ。

偉大な功績を遺したにもかかわらず、資料の少なさから、レティシアは架空の人物なのではないかと議論する者もいる。



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