001

7,天命2〜ライル視点〜


エルガと国王が会った数時間後。魔術庁長官のライルは第四王女の訪ないを出迎える為、門へと向かっていた。

彼女が祭司に選ばれた日以来、姿を見ていなかったが代わりに文書が届いていた。

簡潔に言うなれば、魔術を教えて欲しいという内容。
彼女は、素質がある。魔術師の長の血を引く祖母からもお墨付きを頂く。

(そこまで似なくてもいいと思うのですがね…)

容姿や魔力だけでなく、素質まであの方と似ているなんて。

ため息を吐くとライルは、空を見上げた。
五十年前のあの日とは対照的な、どこまでも澄んだ蒼が広がる。

ふと、目線を門にやると、知っている魔力がまっすぐ近づいてきていた。

急に悪戯心が湧く。魔術を扱えない彼女の目の前でいきなり門が開いたら、果たして彼女はどのような反応をするのだろうか。

エスタリア様ならば不敵に笑って、面白がるだろう。
彼女も同様に面白がるのだろうか。

ライルは、魔術庁の門に立つと手を添えた。

門番が居らずとも、招かれざる者を絶対に侵入させぬ門は、固く閉ざされたままだ。

鍵は…。

(【風のセレーア、炎のナギル、大地のウォルト、水のアクト、光のランス】)
門扉が重たい音を立てて開く。

「!!」

エレーナ様は、手を置いた格好で目を見開き、固まっていらした。


「…ようこそ魔術庁へ。お迎えが遅れて申し訳ありません」

反対側に立っている姫を出迎える。

「ライル長官…」

悪戯は成功したようだ。
突然のことに呆けていた彼女は、ライルの声で我に返る。

己の好奇心から仕掛けた悪戯は、予想と違う結果をもたらした。

容姿が似ていようと、性格まで同一ではない。
彼女は、思考が顔に出やすい。

彼女の幼少期から、自分が恐れられているのは分かっていた。


18/33

*prev next
mokuji
しおりを挟む
index
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -