001



* * *


鏡写しのきみとキミ。
ずっとずっと、二人で一つ。



* * *




「やべー。もう真っ暗。今度こそ殺される」

見上げた空は相変わらずの鈍色だった。
木々に遮られた月の光が、パズルの欠けたピースように区々に獣道を照らしている。

今ではもう歩き慣れた小道を、少年は走っていた。
今更急いだところで夕食はおろか朝食抜きと倉庫の掃除を言いつけられることは容易に想像出来る。
というのも、彼が門限を破ったのはこれが初めてではないからだ。

自分の背丈ほどもある草が生い茂る中を掻き分けて進む。
走っているからだけではない鼓動の速さ。
心配性のシスターの雷が落ちるのはほぼ確実だ。
想像しただけで身震いした少年の額から首筋へ、嫌な汗が伝う。

限界だと足を止め、肩で息をする少年の頭上には四つの目。
つがいの木菟が二羽、ホウ、と鳴いた。


そもそも悪友の家を出た時刻は何時だったか。
その後も真っ直ぐ帰宅せずに近所の女の子をからかって遊んだりもしていたから、今現在何時なのか検討もつかない。
なおのこと、のんびりなどしていられなかった。


「…なんだ?」

再度走り出そうと顔を上げたその時だった。





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mokuji
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