追記

ぺたんとした布団の上で、本田菊は昏々と眠りについていた。そのすぐ横に御座をかいて座るギルベルトは、しぬのかと問うために開けた口をそっと閉めた。ギルベルトは、しぬのかとそう菊に尋ねる手筈でここにいるのに、菊は口を開かないのだ。どうしたものかとほぞを噛む。ほんとうなら、菊はしにますと言うはずなのだ。そしたらギルベルトがしぬのかと問い、それに菊がええと言う。あとはしばらくの会話があって、それで菊はしぬのだ。菊はしんだら終わりだが、ギルベルトにはそのあともせねばならぬことがあるというのに、これでは進まない。ここまで思考して、ギルベルトはふと可笑しいなと考えた。なぜ、菊はしぬ?しぬのであれば、それはギルベルトの方ではなかったか?

「もう、しにます」
突然の菊の言葉に、ギルベルトはひゅっと息を吸い、それでもしっかりしぬのかと聞いた。菊はええと言った。



赤い赤い太陽が東から西へとただひたすら延々と繰り返し暮れていく。菊を葬った墓のすぐそばで思考に明け暮れていたギルベルトは、菊の墓から緑の芽がでていることに気がつかなかった。緑の芽はギルベルトの預かり知れぬところで成長し、いつしか真白の菊を咲かせた。そのときになってようやくギルベルトは菊の墓から芽生えたそれに気づき、


|

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -