まだ顔や体のあちらこちらに火傷が残っているとき、学校を休んで代わりに病院に通っていた。

お世話になっている豪邸の家主、工藤新一くんの幼馴染である毛利蘭さん。
コナンくんの報連相不足により同居人、沖矢昴に攻撃したこともあったが、同じ学校に通ってることが分かり今では良い友人として接してくれる。


「祈梨さん、こういうの着ないの?」

「うん...着るものとか無頓着だったから、着たことないな...」

「じゃあ着てみよう、きっと似合うから!」


連絡を取り合うようになり、以前会ったときに着ていた服が新一くんのお古フル装備だったことを心配されて、半強制的にショッピングモールに連行されたわけだ。

それでなくとも燃える前の服も激安衣料店で揃えていたため、着るものが豊富に並んでいる光景自体が新鮮だった。
目移りばかりしていると手を引かれ、激安衣料店に並んでいたとしても手を出さないであろう装飾のついた服が並ぶ店に入った。


「ほらやっぱり!すごく似合う!」

「そ、うかな...慣れないからなんだか恥ずかしいな...」

「これから慣れていけばいいのよ!...あ、そうだ!」


試着室のカーテンを開けたところで、今までにないくらい褒められて照れ臭くなり、まだ傷が治らず布を張ったままの頬を少し掻いた。
すると何かを思いついたのかさらに笑顔を輝かせこちらを見る。


「祈梨さんの怪我が治ったら、今度は園子も誘ってまたショッピングに来よう!その洋服着て、どうかな?」

「え、い、いいの...?」

「もちろん!園子もかわいいの選んでくれるよ!」

「うん、早く怪我治す...!楽しみにしてる...!」


それにつられて笑みが零れる。
視線が少し外れると店舗入り口のマネキンの背中が見えた。


「ねぇ、あれはどうかな...?」

「あ、いいね!あれも着てみる?」

「わ、私じゃなくて...ら、蘭ちゃん、に...」

「!...そうね、なまえちゃんが選んでくれたから、着てみようかな...!」


そしたらまたキラキラと笑ってくれた。

豪邸へ帰ったら買い物は楽しかった、と友人が少なそうな同居人へ自慢することを決めた。

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