同居人、沖矢昴が不在の日。
コナンくんが一人で訪ねてきた。
彼がイコール工藤新一だと知った今だと、帰宅したという表現が正しいか。
ちょうど昼食の準備をしていたので、一緒に食べることになった。
「...そういえば、私のことなんだけど、情報ソースはやっぱり昴さん?」
「うん。昴さんから変装のことバラしたてこちらの領域に引き込んだって聞いたから、僕も協力して欲しいなぁ、って思ってこの前話したんだ。」
「...ちょっとまって。あの人君のことも巻き込んでるの...?」
「巻き込んだっていうか...協力してる、が正しいかな...。だから僕も昴さんが赤井さんだって知ってるよ。赤井さんが変なことしたら相談に乗るよ。」
「いや、今のところ大丈夫だと思うけど...。というよりも人間関係が複雑で混乱気味なんですけど...。」
「まあ、それは追々...。でも赤井さん、なまえさんのことすごい褒めてたよ。ちゃんと信頼されてるんだね。」
「褒められることした覚えもないけど...。でも言われたからには、私も信頼に答えなくちゃね。...赤井さんも、新一くんも。それに博士も哀ちゃんも。」
「なまえさんて逆境で燃えるタイプ?」
「自覚はないけどそうなのかも。ちゃんと信頼されてるってわかると、頑張っちゃうよね。」
「それ聞いたら益々期待しちゃうね。...そうだ、僕が新一ってこと赤井さんに内緒だよ。それと、昴さんのこと灰原には内緒だよ。灰原、昴さんのこと警戒してるけどうまく誤魔化してくれると嬉しいな!」
「...。...サラッと酷い注文が聞こえた...。小学生だからって私は君が同級生なの知ってるんだからね。そんな可愛らしくおねだりしたって許してあげないんだからね。」
「期待してるね、なまえお姉さん!」
この一件以降、彼に強請れば我儘を聞いてくれるお姉ちゃんだと認識されるようになった。
そのことを知るのはもう少し後になるが、その度我儘に振り回される私も私である。
逆境で燃えるタイプ、というより、断りきれない押しに弱いだけだと思う。多分。