大豪邸の家主とのパイプである少年、江戸川コナンに呼び出された。

場所は隣の大豪邸、阿笠邸。
ある休日の昼間、覚悟を決めて新たな隣人宅のチャイムを鳴らした。
その豪邸にいたのは少年だけでなく、少女と家主、灰原哀と阿笠博士の両人である。

出迎えてくれた江戸川コナンの少年らしからぬ雰囲気を感じとったが、彼はそんなことよりももっと重大な"秘密"をあれよあれよと曝露していくのだった。


「...大丈夫か?」

「私の生きてきた人生というか世界がほんのちっぽけなものだったって実感してすごく頭が痛い...。」

「大袈裟だって」


暴露された事実が重すぎて頭を抱える結果になった。

江戸川コナンイコール工藤新一
嫌でも知っている。通う高校の隣のクラスの有名人。いつからか学校で姿を見なくなったが、まさか諸事情により高校生でいられなくなって二度目の小学校生活をしていたなんて思いもしなかった。

灰原哀も然り
前者と同様諸事情で二度目の小学校生活をしているが、その実本当は年上で成人済み。知ってしまった以上、二度と逆らうことはできないであろう。

そしてその両者の事情を知っている阿笠博士
発明家とは聞いていたが、その手腕で両者に協力していたなんて。大人とはその笑顔の裏で何をしているかわからない、さすがである。まあそれは同居人、沖矢昴にも言えることである。


「私はこんな近くに貴女みたいな隠し玉がいたことの方が驚きなんだけれども。」

「か、隠し玉って...。...確かに隠してはいたけど、そんな大袈裟なのかな...。昴さんも深刻な顔してたけど、刀振り回せるだけだよ...?」

「少なくとも私が生きてきた中で、貴女が初めましてよ。」


自分より人生経験豊富な彼女に言われて嬉しくないわけないが、少々複雑である。


「...なにか言いたそうな顔。」

「...。...いや、こんなあっさり受け入れられていいのかなって...」


両親が亡くなり、その葬式で形見である刀剣を抱えた幼い子どもを親戚は、誰もいい顔をしなかった。
与えられた選択肢は刀剣と共に生きるか、全てを捨てて"普通の子ども"になるか。
そのときから大人を信じることができなかった。ならば息苦しくないように、物言わぬ刀と自由に生きた方が楽だと、煩わしらから逃げるように、思い出に縋るように、ひとりでいることを選んだ。


「考えすぎよ。貴女が頭抱えても私たちのこと理解してくれたのと、一緒。」


抱える頭を上げれば満場一致で頷いてくれた。
本当に、今までの世界はほんのちっぽけで、少し勇気を出せば素晴らしい世界が広がっていたんだ。

これ以上の幸せはないと、自然と笑みが零れた。


「それに祈梨くんが協力してくれれば、新一も哀くんも何かと動きやすいと思うし、祈梨くんも気が楽じゃろ。」

「あとはある程度自衛ができるみたいだし、そのついでに俺たちのこと助けてほしいなって。」

「困ったことがあれば相談に乗るわ。...特にあの胡散臭い同居人に何かされたらすぐに言うのよ。」


それに関しては笑って誤魔化すしかなかった。


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