薄く目を開ければいつもと同じように白い熊のぬいぐるみを抱えたナマエがいる。
俺が起きたことにも気付かないで相変わらず何も知らず幸せそうに寝てやがる。
年はちょうど一回り違い。
こいつが赤ん坊の時から世話している。
つまり今のナマエは"そういう時期"なのだ。
俺にだってそういう時期はあったが、関係ないし苦いものしかないから割愛しておく。
だがナマエはいつまでたっても離れたいなんて言わない。
というより離れたら必死になってついて来ようとする。
そんなに必死にならなくても、お前を置いて行くことなんて絶対にありえないのに。
きっと今もガキだがもっとガキのころから一緒にいて、それが当たり前になってるんだ。
でもそれは俺も同じこと。
ナマエがいなくなることなんてありえないと当然のように思ってる。
周りからは甘やかしすぎだ、とか親離れさせろ、とかギャーギャー言われるが、今もこれからもそんなころさせるつもりは毛頭ない。
"俺たち"は一般的に形容されるような"家族"とか"恋人"とかそんな生半可なものじゃない。
形容するには言葉が足りない、そんな曖昧で確実な"俺たち"の"愛"の成れの果て。
常識なんて多数決だ。
だから"俺たち"は"俺たち"でいい。
海賊なんだから尚更。
だから俺はナマエを"愛してる"。
まだ完全に目の覚めてない俺の頬に白い毛並みのいい塊が押し付けられる。
いい気はしないから眉間に皺寄せてそいつを見やる。
眠気の抜けきってないだらしない顔して、笑うナマエだ。
「おはよう、ロー...」
「...。...ああ。おはよう、ナマエ。」
お前はそのまま輝き続けてればいい。
お前がお前であり続ける限り、共に歩み続けよう。