ナマエは絵に描いたよう"いい子"だった。

よく笑うし、よく手伝うし、よく勉強するし、よく遊ぶし。
いろんな街でナマエと同じ歳の子を見るけど、ナマエはその子たちのいいところを全部吸いとっちゃったみたいだ。

それにナマエはすごく強い。
いつも俺と一緒に真っ先に突っ込んで敵をばったばったなぎ倒していく。
気付いたら賞金なんてかけられちゃって、しかも桁がキャプテンと一緒になっちゃて。

でも根っこはまだまだ子どもだ。
興味があればなんでも手を出すし、ふらふらどこかに行っちゃうこともしばしば。

でも必ず帰ってくる。キャプテンところに。絶対。

桁違いの賞金と不釣あいなナマエがその隙を突かれてどこかに連れ去られたことがあった。
みんなで必死に探したけど、見つからなくて、それでも探した。
キャプテンの顔色がいつもより悪かったのは気のせいじゃない。

一晩探して見つからなくてすごく落ち込んだ。中には泣いてる奴もいた。
ナマエはいい子だからみんな好きなんだ、って思い知った。
俺だってナマエが好きだ。
このままもう会えなくなるだなんて、考えもしなかったし、ありえないと思ってる。


「どうしたの?みんな?」


船に聞き慣れた女の子声が響いてみんな一斉にそっちを向いた。
そこにはナマエがいた。
いつもとかわらない輝きをした、本物のナマエだ。
みんな絶句した。目を見開いて、言葉を探した。

そんな中迷うことなく彼女に歩み寄ったのは、やっぱりキャプテン。
ナマエのところまで行くと、力一杯抱きしめた。


「...馬鹿野郎。もっと早く帰ってこい...。」


普段滅多に見られないキャプテンの弱いときろだ。
キャプテンにとってナマエは俺たちがナマエを大事にしてる以上にすごく大切にしている。


ほら、今だって、
甲板の日陰で二人で本を読んでる。ナマエはキャプテンに抱え込まれるように。
その本は俺にはすごい難しい内容なんだなって遠くから見た表紙ですぐわかった。
でも二人とも、すごく楽しそう。

俺はそんな二人がずっと続けばいいと思った。いや思ってる。
でもたまには俺とも遊ぼうよ。同じ"白熊"なんだからさ。

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