日が傾きだしていた。気分転換を兼ねたパトロールのためにひと気のない一般道路を一台の赤い車が颯爽と走る。
そろそろ三人の子どもたちが基地に来る頃だろう。なんだかんだいって名前も彼らと会うことを楽しみにしていたのだ。


「異常なし。そろそろ帰還しようと思います。」

「それは困りますねぇ」

「え...、っ!!」


基地に通信を入れた瞬間、誰かにそれを割りこまれた。何が起きたのかとわからなくて焦ったが次の瞬間後ろから誰かが思い切りぶつかってくきたのだ。
バックミラーを動かしてみれば真後ろには名前と同じ赤い車。でも自分と違いスピードが出そうなスポーツカー。
どれだけスピードを出しても振り切れないと悟った名前はその場で変形してみせる。後ろにつく赤いスポーツカーの上に手をつきながらをバック転で飛び越える。


「やっぱり名前は身軽だ、見るたび惚れ惚れしますよ」


名前が着地すると前を走っていた赤いスポーツカーは急停止する。すると赤いスポーツカーも彼女と同じように姿を変えていく。名前は青いバイザーの奥の瞳が揺らいだ。


「やぁ名前、何サイクルぶりでしたっけ?」

「な、なんでいるの...?」

「質問に質問で返すなんて...まあいいでしょう。ドライブしてたら見覚えのあるバックが見えたんですよ?突っ込まずにはいられないでしょう?」


こちらを向いた目は"破壊を好む赤色"。名前は目の前のトランスフォーマーを知っていた。


「それにしても、それ、似合わないですね。私は赤い方が好きだったのに。非常に残念だ。」

「わ、わたしは、嫌いだった...から、これ付けてるの...」

「へぇ...。...ってことはそれ取ればまた帰ってきてくれるということですよね」


瞳が細められた。その手にはバチバチと電気を散らすロッドが握られている。バイザーの奥で瞳が見開かれた。しかし手は対抗しようとライフルを構えた。バイザーの内側ではロッドを持つ奴をしっかりとロックオンしていた。


「オォウ...怖い怖い。一発でお陀仏だ」

「来ないでよ!もうあんなところには行かないんだから!」

「酷い話だ、昔はあんなにお転婆だったのに」


そう言いながら一歩前へ踏み出したら、ビーム砲が発射された音を聞いた。前に出した足の前に穴ができていた、煙もたっていた。


「動かないで、近づかないで!」




     孤独だった頃の傷跡




もうわたしはあなたたちとはちがうんだから

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