卵生である彼ら"金属生命体"が、"一つの卵"から"二体"生まれてくることはない。
何故だと問うなら、その卵事態が高度な文明の産物なのだと答えられるだろう。計算しつくされたそれは効率よくエネルギーを送り、効率よく子孫を残すように造られているのだから。

だが、どんなに優秀なロボットでもエラーは発生する。今回の事例はまさにそれだ。

完璧に管理された卵から生まれてきたのは"二体"の子供だった。
片方は男型。主な仕事は情報収集、与えられた任務を忠実に遂行、無口で、無数のコードを操り、拠点のコンピューターを制圧、戦闘においても一目置かれていた、主の考えに忠実な子。
片方は女型。主な仕事は前線戦闘、与えられた仲間と星を駆け巡り、明るくふるまい、小さな仲間たちを駆使して、巨大な敵に立ち向かう、情報収集にも駆り出されることのある、主の考えに疑問を抱く子。

対に存在する彼らは"番い"と呼ばれ、二体で一体だった、はずなのに。
彼女は戦場で出会ってしまったのだ。主に抱いた疑問の答えに。
それを求めて彼女は"片割れ"を置き去りに光に手を伸ばした。残された"片割れ"は何も言わなかったし、引き止めもしなかった。真実を語ろうとしないのは彼が無口だからか。それでも彼は"片割れ"のいない闇に残り何も変わりがないように働いてみせた。

闇に残った彼は優秀な参謀になり軍に必要とされ生まれてきたことを称えられ続けた。同時に"片割れ"は言われ続けた。


(それは決して生まれてはならなかった子供だったのです)


その言葉を口にした愚か者は常に消される運命だということを、彼女は知らない。

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