若干人見知りの傾向がある名前は地球に来てさらにそれを悪化させたように見える
片割れと違って内気な思考の彼女は"彼ら"という存在を目の前にしながら一人忙しなくカメラアイを動かしていた
ついさっきまで作業していた手は完全停止、緊張と恐怖が彼女のブレインサーキットを埋め尽くす
助けを求めようにも総司令官を含む隊員は全員出払い中。
つまるところこのできたばかりの基地の中には名前と"彼ら"しかいないわけだ。

 「あなたは皆と一緒に行かないの?」

"彼ら"の一人ローリは名前にそう問うた。
返答に期待を示すように二人の兄弟は瞳を輝かせていた。
カメラアイは忙しなく動く、どう答えるべきかブレインサーキットをフル回転させる。

 「あ、えと、私、戦闘員じゃないので...」

ぎこちない返答。
"彼ら"から言葉が返ってこない。
少し不安が募りながらも自分は言葉を続けた

 「最初からそういう風に、造られてないんです。」

思い返せばそうだ。
自分には戦闘を有利にできるだけの武器がない、戦闘に参加出来るかどうかも怪しい
あるといえば腕に装備されたアンカーくらいだ。

 「つまらなくないの?皆戦ってるのにこんなところにいて」

バドは少々退屈してきたのかつまらなそうに名前を見る。
その表情をみて名前は苦笑いを零しながら答えた。

 「皆みたいに壮大ではないですけど、ここから皆をサポートして、私も戦闘に参加してるつもりですよ」

役に立っているかどうかは別ですけどね、と後付ける
少し寂しそうに笑った名前を見たコビーは少し前に聞かされた話を思い出した
エクシリオンが嬉しそうに話していたのだ。まだ記憶に新しい。

 「エクシリオンは昔っから名前に助けられてるって言ってたよ!」

 「...エクシィが?」

 「うん!突っ込むしかできない自分をちゃんとサポートしてくれるって」

コビーは自分のことのように嬉しそうに話した。
それを聞いたローリはさらに話を膨らませ、彼女も聞いた話を嬉しそうに話してくれた。
さっきまで退屈そうにしていたバドも嬉しそうに話してくれる。
それらを聞いていた名前は嬉しくなって笑顔を作った。
"彼ら"の言葉に返答することで成立する会話。
今までブレインサーキットを埋め尽くしていた負の感情は全件処理済み。
新たに流れ込んでくるそれは喜び。
皆の役に立ててると実感した喜び、そして"彼ら"と話せたという喜び、
処理してもしきれないそれに、彼女は心の底から思う


生きてるってすばらしい
エクシィに会えてありがとう
皆に会えてありがとう
地球にこれてありがとう


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