真っ先に駆けつけたのは斬島だった。
彼がの目にしたものは暴れる祈梨に跨がり、その目を抉りだそうとしている田噛の姿。
一体何がどうなっているのかわからず一人混乱していると、後から駆けつけた佐疫が叫んだ。


「田噛!!なにをやってるんだ!!」


いつも温厚な彼からは想像出来ないような叫び声を聞いて斬島は我に返った。
後ろから田噛を引き離そうと捕まえれば案外あっさりと離れてくれた。根っからの面倒くさがりだから抵抗するのも面倒くさかったのかもしれない。だが斬島としては好都合だった。


「...これはどういうこと?」


斬島に並んだ佐疫が大人しくなった田噛に問う。だが田噛は佐疫から顔を逸らすだけでなにも語らない。
襲われた祈梨のほうは、騒ぎを聞いてみにきたであろう木舌に助けられていた。
大きな体を屈めて彼女に手を伸ばせば、一瞬怯えを見せたがすぐに手を取り返してくれた。
こんなに怯えて、怖かったのだろうと手を引き抱きしめてやった木舌。


「...祈梨」


だが彼も違和感を覚えていた。


「田噛みたいに乱暴しないから、顔をあげてくれないかい?」


その言いようのない違和感を確かめるためにそう言った。
しばらく渋っていた祈梨だったが、背中を優しく擦られ自分の名を呼んでもらい根負けした。
ゆっくりと顔をあげて木舌を見上げた。


「ああ、そういうことか」


田噛は、祈梨の瞳じゃない、色の違う眼球が気に食わなかったから抉ろうとしたのだ。

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