自分を救い出してくれたあの人から与えられた任務を終え、祈梨は帰るべき館に帰ってきた。
早く報告しなければ。少し疲れたから今日はこのあとずっと寝ていよう。
足を早めると、前から親しい先輩が歩いてくるではないか。


「あ、田噛...」


人付き合いはあまりよろしいとはいえないが、本当は優しいことを知っている。
あの怪異にはすこし手を焼いたけど、頑張ったことを話せば先輩は褒めてくれるだろうか。
そう考えるとすこし嬉しくなってくる。
抑えきれない衝動で少し足早に彼に近づいた。


「...。」


一方の田噛はこちらに向かってくる彼女を見ると足を止めた。そして明らかに嫌そうに顔をしかめる。

田噛のもとまでやってきて、何かを期待して輝かせる彼女のその"瞳"に、苛立ちが募った。

田噛がポケットに入れたままだった手を出したところで、祈梨は異変に気付く。いつもと違う、と。
本能的に逃げようと一歩後ずさったが、遅かった。


「おまえ、なんのつもりだ」


その手が迫ってくる。
自分の"瞳"めがけて。


館の中に甲高い断末魔の叫びが響き渡った。

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