やるべきことが決まればそこからの行動は早かった。

まず任務を任された平腹と共に亡者を探しにいくことになったのは田噛と斬島。田噛に関しては自ら行くと名乗り出のだ。少なからず祈梨に負い目を感じているらしい。斬島は言い出しっぺの法則によって平腹に強制連行された。本人はそれで祈梨に協力できればいいとさして抵抗は見せなかった。

佐疫は事の次第を肋角に報告すると言った。
祈梨が亡者に接触して、知らずのうちに目玉を抉られた件。その真相を暴くために平腹たちが亡者を捕らえに行った件。すべて隠すことなく報告するつもりだ。
きっと報告すれば祈梨が何かしらの罰を受けるのはわかりきっていた。だがそれを見てるのは少しばかり心苦しいので助けになればと木舌も佐疫と共に部屋を出た。

部屋に残ったのは祈梨と谷裂。
祈梨も一緒に残るなら"お兄さん"とがいいよね。という木舌の説得力のない言葉により半強制的に残ることになった。
残された部屋には沈黙が流れたが、先に破ったのは谷裂だった。


「...お前は考えなかったのか?」


賢明な子だと思っていた。
基本的に誰にも面倒事を押し付けたくないと考える祈梨だから物事を誰よりも慎重に考える。


「こうすることでお前が一番恐れている結果になることに」


一向に目を合わせようとしない祈梨は俯いたまま。その言葉に反応することもなくただただ俯いていた。

彼女は見放されることを一番恐れていた。
それが生前からの刷り込みかどうかは定かではないが、出会ったときからそうだった。
面倒事を誰かに押し付けたくないのも、そういう結果を未然に防ぐための彼女の防衛本能。


「お前は浅はかに考えるばかりだったが、馬鹿ではないと思っていた」


ただしその事実に気付いているのは谷裂と、祈梨がよく隠れ蓑にしている木舌ぐらいだろうか。

だからこうやって少し突き放してやればすぐに泣いて白状するだろう、いつも通りならそうだった。

だがゆっくりと顔を上げる祈梨にその様子は微塵も感じられない。
彼女が顔を上げきるとそこでようやっと目があった。
ただでさえ違和感のある色の違う瞳はいつもなら感じないような光を灯していた。


「お兄さんにはきっとわからないよ...。...なんでこうなったのか、なんて...。」


そこまで言い切ると祈梨はまた俯いてしまう。何をするでもなく、ただただ俯いていた。

谷裂は直感的に感じた。
彼女はここから出してはいけない。例えそれが彼女を"殺す"ことになっても。

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