宿題教えてと家に押しかけてきたのは甲斐に平子場に田仁志だった。玄関を開けたらそこにいた彼らに驚きはしたがいつものことだと了承して彼らを家にあげた。
家に上がるとさっそく甲斐が宿題を広げた。ところどころ手を付けた痕跡は見られるが全体から見れば微々たるもの。


「...永四郎くんが知ったらゴーヤーだね」

「ゴーヤーはお断りやっし...」


長期休みの宿題をここまで溜め込んだ彼も彼だが、休み明けに部長様に叱られる彼を見るのも可哀想だ。
それに部活にも支障が出かねない。宿題を提出せずに後日補習なんて組まれたら、それこそ部長様が何と言うかわからない。というか甲斐が生きて帰ってこれるかもわからない。


「今年も頑張ろうね裕次郎くん」

「...。...おう」


やる気を絞り出した甲斐とは違い、平子場は我が物顔で人の家の冷蔵庫からジュースを取り出していた。そのジュース自体、長期休みに家に来るのをわかっていた彼らのためのものだから咎めはしなかった。田仁志は持参したお菓子を宿題の横に広げ、食べてもいいと言ってくれた。平子場は彼を少しでも見習えばいい。
そんな平子場に田仁志はある程度宿題の終わりが見えてきたのか、宿題自体は持参したようだがまだ広げない。

じゃあまだ甲斐にやる気があるうちに、と意気込んだとき、玄関が開く音が聞こえた。
仕事に行っていた母親が帰ってきたのかと思ったが、今日は遅くなると今朝話したばかりだ。だったら誰だろう。と言っても限られてはくるが。


「なまえ!」


お隣の幼馴染だ。
ペンを持ってはいるが既にその手が止まっている甲斐を田仁志に任せて玄関に向かう。
そこにいたのはやっぱり彼だった。そしてすぐに気付いた。小脇に抱えた見覚えのある冊子、今まさに甲斐が広げているそれと同じやつ。


「わんにも宿題教えて」


彼、知念寛はそう言うと家に上がり甲斐たちがいる居間に向かった。
何が起きているのかはわかってはいるが突然すぎて置いていかれてる。そこへジュースだけでなくお菓子も見つけ出していた平子場が台所から顔を出した。


「なんだ、寛ぬやつもう来たぬか」


その物言いはまるで彼が来ることがわかっていたかのよう。どういうことなのか聞こうとしたら、やーは気んかいするなとお菓子を抱えて行ってしまう。
そのお菓子も彼らのために買ってきたものだから何も言わないでおこう。


「なんで寛がいるんだ!」

「あんくとぅ言っただろ裕次郎、寛が来るって」

「早すぎるさぁ!!」


この瞬間、甲斐の集中力は切れた。と言っても家に押し掛けてきて数分で集中してたと言われれば否と答えるが。
この後甲斐に宿題を教えることになるが、何度説明しても理解しない甲斐にしびれを切らせる知念にフォローする気すらない平古場に田仁志、収拾がつかなくなった状況を収めようと我らが部長様に電話したのは別の話。

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