みょうじなまえと木手永四郎のクラスは同じだ。
だからなんだというわけではないが、頭の言い二人が同じクラスなんてずるいと誰かが言っていた。確か甲斐辺りだっただろうか。


「...で、今日の放課後なんですけどね、みょうじさんはどの練習がいいと思います?」

「聞いても取り入れてくれたことないのに..」

「参考までにですよ。」

「本当にそんなこと思って...、...あ」


朝練が終わって教室に向かう前。下駄箱を開けて上履きを取り出そうとした時だった。中から一枚の紙が出てきてひらひらと床に落ちた。
なんだろう、となまえが拾おうとした時にはもう木手の手の中だった。こんなときばかり縮地法を使うのはづるい。


「永四郎くん!それ私のっ!」


なまえは木手に奪われたそれを奪い返そうと手を伸ばすが、自分より身長の高い木手がその手を上に上げてしまえば届くはずもなかった。
紙を持つ手を上げたままその正体を最初に確かめたのは木手だった。確認するとすぐ、あからさまに大きなため息をついた。


「知念くん」

「ぬーがよ、永四郎」


すると少し離れた下駄箱の上から知念が顔を出す。その知念が見たのは、木手となまえのクラスの下駄箱辺りに揺れる一枚の紙切れ。なまえに返すまいとその紙を上へあげる木手の手の中にあった。

その紙が何を意味しているのか、すぐにわかった。


「これは俺が預かっておきます。君は甲斐くんと平子場くんがサボらないように教室まで見張っておきなさいよ。」

「永四郎くんどこ行くの...?」

「野暮用です。...それと放課後はとりあえず海にでも行きましょうか。」


木手はその紙を鞄の中に入れるとさっさと上履きをはき自分たちの教室とは反対の方へいってしまった。それと、何故か知念が並んで歩いていた。


「..永四郎たち、どこ行くんかや?」

「...わからない。でも裕次郎くんと凛くんを教室に送ってって言われた」


木手が言い残したそれを伝えると甲斐はあからさまに嫌そうな顔をした。やはりどこかに逃げようと企んでいたのだろうか。
平子場はというと何処かへ向かう木手知念の背中を見て、なんとなく察していた。

というか、あの二人が並んで行く場所なんて一つしかないと思った。
きっとこれからなまえの身に降りかかる予定であったであろう火の粉の種火を消しに行ったに違いない。

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