あの爆発から数日後、爆発の威力は凄まじくて万博会場が吹き飛んだり、爆風で街はめちゃくちゃになったり、学校の一部が壊れたり、大変だった。
ワイリーは瓦礫の中で倒れているところを逮捕されたそうです。奇跡的に大きな怪我はなかったみたい。バレルさんは結局見つからなかったそうなんだけど、どこかで生きていると思う。だってバレルさんは"不死身"だから。
そう、チロル、六法、入道の三悪人はあの爆発の前にセントラルパビリオンの下で気絶しているところを炎山くんに逮捕されたそう。あの高さから飛び降りたらただでは済まないと思ったが、案の定と言ったところだろうか。
先生は自首したんだけれど、WWWに入った理由も理由だったし、WWWの野望を食い止めようとしたということで罪も少し軽くなったみたい。
...アイリスちゃんとカーネルのことをみんなに説明したら、一緒に悲しんでくれた。二人はどこかで私たちのこと、見ていてくれるかな。




...そして私たち、実は今日学校の卒業式なんです。




「たくさん祝電がきているのでお名前だけ紹介するわね」


日暮闇太郎&ナンバーマン、魚屋さんのマサさん、お弁当屋のサロマさん、骨董品屋のミユキさん、アナウンサーの緑川ケロさん、お土産物屋のたま子さん、クリームランドのプリンセス・プライド、科学省のみなさん。

こんなにたくさんの人からお祝いしてもらえるなんて、やっぱり嬉しいんだろうな。
私はみんなと違って卒業したってシャーロに帰るだけ。もともと厄払いなのだから仕方ないと言えば仕方ない。

そう、私を含めた才葉学園のみんなは今、熱斗くんたちと同じ秋原小学校で卒業式を行なってる。爆発で学校が使えなくなってしまったので急きょ秋原小学校との合同卒業式になったのだ。これはこれで楽しいねって明日太くんと話していた。
コジローくんは仲良くなった熱斗くんたちがまり子先生という美人さんに習っていたことが悔しくて仕方ないみたいだ。


「俺たちの先生ときたらむさいおっさんだし...それに突然学校には来なくなっちゃうし」

「誰がむさいおっさんだって?」


すると聞き覚えのある懐かしい声の持ち主が教室に入ってくる。


「みんな、卒業おめでとう!」

「...せ、先生!!先生ーーーっ!!」


今まで散々なこと言っていたコジローくんが真っ先に駆け出した。それに続くように明日太くんもみんなも彼に、マッハ先生に駆け寄る。なんだかんだいってコジローくんも先生のことが大好きなのは、きっとみんなわかっている。ほら、いつも意地っ張りのコジローくんが泣きだしちゃった。
それを見たまり子先生ももらい泣きをしてしまう。すると才葉学園のみんなと同じように秋原小のみんなも先生に駆け寄った。仕舞にはみんなで泣きな出してしまう。
そんな私だって今まさに泣きそうだ。でもみんなとは違うだな、って思うと別の意味で泣きそうだ。だからなかなかみんなのように先生に駆け寄る一歩が踏み出せない。


「なにしてるんだよなまえ!!」

「なまえさんも行くッス!!」


はじっこで大人しくしているとコジローくんと明日太くんが私を見つけ両の腕をそれぞれ引っ張る。引っ張られて向かう先には、赤いジャージのいつものマッハ先生。


「どんな事情があってもなまえも俺の大事な教え子だぞ!!」


そう言って笑顔で両手を広げてくれた。コジローくんと明日太くんは既に私の腕を離してくれていて、私は自由だ。
そんなこと言ってくれるなんて、本当に嬉しくて、涙がこぼれた。この涙はいつも流していた悲しいものじゃないってことが実感できた。


「せ、先生もっ、どんな事情があっても、私の先生ですっ!」


その胸に思い切り飛び込んだ。そして大声出して泣いた。
みんなに会えてよかった、みんなとまだ一緒にいたい、これが卒業式なんだ、こんな卒業式、一生忘れるわけない。


キーン・コーン・カーン・コーン
涙なみだのホームルームも終わりの時間がやってきた。


「みんな、今まで本当にありがとう...。みんなのこれからの成長を期待しています。」

「みんな、勉強のしすぎで頭の固い大人になるんじゃないぞ!元気でな!!」

「それでは最後のホームルームを終わります。みんな、卒業おめでとう!」


先生たちが締めるとみんな応えるように大きな拍手を教室に響かせた。これで本当に終わるんだなって思うとまた涙が出てきそうだった。
そのあと熱斗くんだちと集まりこの後どうしようか、と相談していると突然マッハ先生に呼ばれた。
廊下に呼ばれ、誰かが聞いていないかを確認するように辺りを見回すと、小声で話し始めた。


「...ホームルームの前に、俺のところに奴が来てな、なまえに渡してくれって大きな荷物を置いて行ったんだ」

「...やつ?」

「バレルだよ」

「ばっ、バレルさん?!」


驚いて大きな声でその名を呼ぶとすぐさま先生に口を抑えられた。バレルさんは、やっぱり生きていたんだ。それにしても私に渡すものとは一体何なのだろう。心当たりが全くない。


「今職員室に置いてあるから、正門で待ってるライカくんと一緒に取りにいくといい」


そう言って先生は先に職員室に戻って行ってしまう。ライカと一緒にこいってことは、そんなに大きなものなのだろうか。
とにかく今は取りに行かなくてはいけない。教室に戻り、事情を伝えるとじゃあ後でなまえの家に迎えに行くからと熱斗くんが言ってくれた。それを了承すると今度は正門まで走り、そこで待っていたライカを引っ張り職員室まで向かった。その途中でバレルさんがくれたんだと話すとやっぱりライカも私と同じように彼の名前を大声で叫んだので慌てて口を塞いだ。

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