行く手を塞いでいたレーザーが消えた。これであの三人を止められる。私たちは未だ扉を開けられずにいる三人に近づいた。どうやらあの扉は彼等の下っ端のような人には開けられないように出来ているようだ。
「もう逃げられないよ!」
「ふん!何が"逃げられない"よ!子ども二人で大人三人に勝てると思ってるわけ?」
そういうとチロルの横に六法と入道が並んだ。これは実力行使に出るということなのだろう。
「あんまりにもネットバトルが強いからすっかり忘れていたけれどよ、お前小学生だったんだよな。」
「腕力に訴えるのはポリシーに反するけど、君たちにはジャッジマンをデリートされてるしね...」
そんなことされたら私じゃ到底かなわない。軍にいたってそんなこと習ってたわけでもないし、なにより怖い。小学校には通っているが、小学生ではないと声にするにも声が震えてうまくでない。
私が恐怖から一歩下がると、代わりにライカが一歩前に出た。
「お前たちも忘れているようだな。俺たちはシャーロ軍に所属しているんだぞ。」
そうだ、ライカは今まで大人に混じって訓練だって受けてきたし、任務でも大の大人を蹴り飛ばしてるのを実際に見たことがある。
ライカが構え彼等を睨みつけると、それを思い出し今度は彼等が後ろに下がる。
『侵入者だ!!』
そのとき、聞き覚えのある電子的な声が聞こえた。この声は、ナビの声だ。恐る恐る振り返るとそこには数体のコピーロイドがいた。それもすごい数を引き連れている。
『なまえ、そして、裏切り者達を発見!!』
『デリート!!』
『デリート!!』
こんなときになんてことだ。さっきまで優勢だったのに一気に不利になってしまう。このままあのコピーロイドたちを相手にするにも多すぎる、それに背後には三人がいるのだ、何をされるかわからない。
『なまえ、そして裏切り者たちよ、ここがお前たちの墓場だ!』
『かかれーーーっ!!』
その号令とともにコピーロイドたちが一気に迫ってくる。
ライカと共にPETを構えなんとかコピーロイドたちを倒そうと並んだ。確かに、怖いけれども、そんなこと言っている時ではないのだ、今は。
『ガッツパンチ!!』
『ロールアロー!!』
『グライドフラッシュ!!』
突然私たちの前に三体のナビが現れた。
だがそのナビの背中を私は知っている、秋原町のみんなのナビだ。
「ガッツマン、ロールちゃん、グライド...!...ってことはみんなっ!」
「おまたせなまえちゃん!」
上の通路からメイルちゃんの声が聞こえた。見上げるとメイルちゃんだけではなくデカオくんにやいとちゃんも一緒だった。よかった、みんな無事だったんだ。
でも、あと三人、足りないのだ。
「...アイリスちゃん、それにコジローくんと明日太くんは?!」
「アイリスちゃんは、ワイリーに連れて行かれちまった...。すまねえ、俺たちがついていながら...」
デカオくんが申し訳なさそうに言う。やっぱりワイリーはアイリスちゃんに何かをしようとしている。どうにかしてそれを止めなくてはいけない。
「コジローと明日太の二人なら、向こうのナビを倒してるはずだぜ!」
デカオくんが指さす先にコジローくんと明日太くんは確かにいた。が、コピーロイドに送ったかれらのナビは苦戦を強いられている。寧ろ囲まれて危機的状況にある。いまここにコピーロイドがあれば、ジェミニマンが彼等を助けにいけるのに、そう思った時だった。
青い閃光と赤い一閃が敵のコピーロイドを全滅させた。
ロックマンにブルースだ。彼等がここにいるということは熱斗くんと炎山くんも無事に学校から抜け出せたのだ。
「またせたな」
「なまえ、大丈夫か!」
その二人が姿を現した。姿を確認できて私は一安心だ。
コピーロイドからの危機も落着、アイリスちゃんを除いたみんなも無事集合。それにオフィシャルである炎山くんも来てくれた。数の上でも相手を圧倒できるだけの力がある。これで流れは完全にこちらに来た。
「勝負あったな。それでも向かってくるのなら、相手になるが。」
ライカがとどめの一言を放った。三人は悔しそうな顔をして一歩また一歩と後ろに下がって行く。
それにしても彼らなんかよりライカのほうがよっぽど悪役らしいのはどうしてなんだろう。