俺たちの感動的な対面をぶち破ったのは学園の入り口でも囲まれた警備ロボットたちだった。
教室の後ろの扉を大きな音をたてて入ってきた。教室にいる生徒はみんな突然現れた警備ロボットに好奇心で近づく。なまえも彼らと同じようにロボットを見に行こうと一歩踏み出した、そのときだ。コピーロイドの聴覚がガタガタと小さな音を拾う。なんだこれはと顔をあげると今度は前の扉が不自然に揺れている。


『なまえっ!!』


俺はすぐさま彼女の手を引いた。後ろにひかれたなまえの体はこちらに倒れこんでくる。すぐに受け止めて大きく後ろに下がった。
次の瞬間、文字通り扉を押し倒して入ってきたのはこれまた警備ロボットたち。この時点で俺たちは逃げ口を失いロボットたちに囲まれた。
この状況は明らかにおかしい。今朝のようにこの学園の証を持っていないなまえが彼らに攻撃されそうになったのはまだわかる。だがこれはなんだ、今の今までコピーロイドのことを話し体験していただけでなぜ彼らに囲まれなければならない。


「いかん!みんな下がれ!!」


マッハ先生が声を張り上げる。その声はさきほどまでの陽気さを一切含んでいなかった。不審に思ったのは俺だけではなかったようだ。


「事件も起こってない時にのに警備ロボが教室に入ってくるはずがない!」


そういうと先生は生徒を守ろうと前に出た。空手剣道柔道合わせて十段の腕前で警備ロボットを追い払おうとしたが、まあ、人間が意思を持つ鉄の塊に勝てるわけもなく、撃沈。というか合わせて十段ってどれぐらいすごいのだろうか。とにかく今はそんなことを気にしている暇はない。
ガタン。誰かが席を立った。編入したばかりの俺たちに散々迷惑かけ続けた奴、コジローだ。彼は迷うことなく警備ロボットたちに向かって歩き出す。なまえが危ないと声を出そうとした、しかし出さなかった。鈍い彼女でもいい加減気付くだろう。そうだ、このとんでも状況を作り出したのは誰でもない、こいつなのだと。


「みんな真ん中に集まって!」


俺の手から抜けだしたなまえが叫んだ。さすがは軍人だその判断は正しいと思う。統率のとれない団体を守ることは難しくなる、それが子どもなら尚のこと。この教室であの警備ロボットに対抗できるのはコピーロイドの中にいる俺だけ。彼女の行動は俺がクラスのみんなを守れる、という最大の信用なのだ。

一方のコジローは警備ロボットの一歩後ろ、その立ち位置で確信が持てる。元凶はこいつだ。何が目的かなんて察しがつくが問いただすのはあと、何としてでも止めなくてはいけない。コジローを捕まえようと俺は一歩踏み出すが、相手の方が早く動いた。


「やれ、ブラストマン!」


その一言で警備ロボットたちが火を噴いた。轟々と燃える炎は教室内の気温を一気に上げる。


「コジローくん!はやく火を消してよ!」

「お前らがなんとかしてみろよ!きっとみんなが期待してるぜ!」


こいつは俺たちに嫉妬しているのだ。ウイルスバスティングの件、今回の件、自分で起こしたにもかかわらずそれを棚上げして勝手に嫉妬して、それは子どもに許された特権だと理解しないまま。これは事の重大さをその身をもってわからせないと大変なことになる。このとき俺はあいつを本気で殴ろうと決意した。



「まあ、命までとるつもりはないが、お前たちの苦しむ姿をしばらく楽しませてもらうとするぜ!」


せいぜいがんばりな!
そう言い残しコジローは地獄と化そうとしている教室から一人出ていく。残された俺たちと火を吹く警備ロボット。俺はみんなを守ろうと前に出るなまえに駆け寄る。一件落ち着いているように見えるが火を映す瞳は今にも泣きそうだった。


『落ち着けなまえ、まだどうにでもなる!』

「で、でもこの炎をなんとかしなくちゃ、コジローくんも追いかけられない...」

『だったら俺が火を消してやる!』

「ど、どうやって...!」

『水でも消火器でも見つけてきてやるから、ここはお前に任せたからな』


俺の言葉になまえは力強く頷いた。そうとなれば俺はこの警備ロボットをどうにかしなくてはいけない。まずは入り口を塞ぐように立つ警備ロボットを蹴り倒し教室を出る。一歩出ると廊下にも数多くの警備ロボット、こんなところに教室のいるみんなを出したら怪我人が出る。まずは安全地帯として教室を開放しなくてはいけない。俺はあの火を消すものを探すために廊下を駆け抜けた。

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