校長室へはロビーをどうにかして上るのが一番早い。大きなショートカットではあるがそこに敵が来てしまったら元も子もない。
こういうときこそ正規ルートを、と冷静な炎山に言われ職員室からいく正規ルートを行こうとした時、


『こっちだ!いたぞ!!』


コピーロイドだ。このままでは仲間を呼ばれて大変なことになる。今ならまだ数が少ない、ならなんとかなると意気込んでいると熱斗くんと炎山くんが前に出て行く。


「ここは俺たちがやる、お前たちは先に進め」

「これぐらいなら俺たちにだって止められるからさ!」


そんな無茶しなくったって、止めに入ろうとすると無言でライカに手を引かれ職員室に連れて行かれる。これが彼なりの信頼を現した行動なんだということは、後々知ることになる。

とにかく今は校長室だ。職員室にも数体のコピーロイドが見えたが、何とか切り抜け、ようやく校長室までたどりついた。
だが隠し通路なんてあるようには見えない、ここはただの校長室だ。それに以前炎山くんたちオフィシャルが調べつくしているはずだ。本当にここに隠し通路があるのだろうか。


「...あれ、この本だけなんか、違う」


その本は本棚に並んでいた。他の本が新品のように綺麗なのに対してこの一冊はやたらと擦り切れている。なんでだろう、と好奇心で本を引っ張った。だが最後まで抜けきらない。おかしいと思って今度は両手で引っ張ろうとすると、背後で何かが動く大きな音がした。
振り返るとライカが目を丸くしていた。目線を負うと、そこには大きな入り口のような穴が開いていた。


「...これが隠し通路か」


冷静に戻ったライカが中を覗く。中は暗くて先がよく見えない。
だが隠し通路があるということは先生が行っていたことは本当だったということ。ということはこの先は万博会場に繋がっている。


「行こう、ライカ」

「ああ」


私たちには迷っている時間はないのだ。

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