パビリオンを回りスタンプを集めた俺たちはあのコピーロイドに言われたようにセントラルタウンのパビリオンに向かおうと一度集合をしていた。
みんなカードはスタンプで埋まっている、残すはセントラルタウンのパビリオンを残すのみとなっていた。
「...な、なんかコジローくんと熱斗くんとデカオくん、やけに仲良くなってるけど」
「あの三人はいつかネットバトルでジェミニマンをこてんぱんにする同盟を結成したそうだ。」
「仲良くなるのはいいんだけど、喜んでいいのかな...」
もともとネットバトルが好きな三人だ。それなりに強いジェミニマンを倒したいと思う気持ちが合わさったのだろう。
それになまえを、と挙げない辺りは賢明だと思う。そうなると奴らはジェミニマンの前に俺とサーチマンを相手にしなくてはならなくなるからな。
「アイリスちゃんはメイルちゃんとやいとちゃんと仲良くなれたみたいでよかった」
アイリスのことを心配してたのは俺も同じだ。どこか違う雰囲気を持った彼女、それに人見知りがある。俺たちと打ち解けるのにも時間がかかった彼女の心配をするのは当然だったが、そんな心配は無用だった。というより彼女と打ち解けるのに時間がかかったのは俺となまえが同世代の人間との接点が少ないのが原因と言ってもいいだろう。決して友人がいたいとか、そういうことを言っているわけではない。
「じゃあみんなでセントラルパビリオンに行こうか!」
言うのが早いか、なまえが一人で先にパビリオンへ走りだした。仕方ないと俺もなまえを追いかける。そんな俺たちを追いかけるようにみんなもついてきている。
パビリオンに入るとまず目に入ったのはすごい数のコピーロイドだった。
これにナビを送ることでそのナビの姿になるという次世代のロボット。才葉シティに来てから何度か目にしているが、これだけの数が並んでいると逆に不気味だ。
「...アイリスちゃん?」
「どうしたんだ...?」
「...。」
一人みんなから離れているアイリスをみつけた。近くまで寄ると、何かに脅えているように、手が震えているように見えた。
『ようこそ、セントラルパビリオンへ!』
ここよりせり上がった舞台のような場所に先程のコピーロイドが立っていた。彼がよく見えるように前に来てみたが、アイリスは俯いたまま。
『どうですか、ここに並べられたコピーロイドの数々。素晴らしいパビリオンでしょう?』
なんだか様子がおかしい。言い表しようのない違和感を感じた。
『あなた方は幸せです...この素晴らしいパビリオンで人生を終えることが出来るのですから!!』
「クククク...」
これが違和感の正体だ。なまえが貰ったメールは最初からこうなるように仕組まれた罠だったんだ。最初から電脳獣を欲しがっていた"組織"の仕業だった。
「久しぶりじゃのう...」
「ワイリー?!」
俺たちは騙されていたんだ。そもそもこの建物は万博でもなんでもない、WWWの総本部だったのだ。