目を覚ましたアイリスちゃんを連れてセントラルタウンまで戻った。コジローくんと明日太くんも心配しているだろうから、早く安心させないといけない。
学校前の広場まで行くと二人は待っていてくれた。
「なまえさん無事でよかったッス!すんげー心配したッス!!」
「明日太くんもコジローくんも心配かけてごめんね。」
「お、俺はアイリスちゃんの心配をしてたわけであって、別にお前の心配なんてこれっぽっちもしてないぜ!」
「素直じゃないね、コジローくん」
そっぽをむいてしまうコジローくんだが素直じゃないだけで本当はすごく心配してくれたんだなってわかるから嬉しい。
そういえば、と思い出したように周囲を見回すと、私の二三歩後ろにライカはいた。
そのライカの手を引っ張りみんなの前に戻ってくる。
「そういえばまだ紹介してなかったね。彼がライカです!」
「なまえさんがよく話してる人ッスね!」
「ああ!軍人のやつか!」
コジローくんの一言で辺りが静まり返る。さっき掴んだライカの手だけど、なぜか今は私の手が掴まれている。痛いぐらいだ。
「どういうことだなまえ!!」
いろいろな事情があったとしても私は軍の人間だ。それを隠してニホンに来ているのに、知られたとなっては任務だったら即刻帰国レベル。
ライカに知れればこうなることはわかっていた。わかっていたからこそずっと内緒にしてたのに。
でもこれだけは言いたい、こうなったは私のせいではないのだと。
「ち、違うの!ジェミニマンが...!」
「またお前か!もういいサーチマン、そいつの根性を叩き直せ!」
『了解しました』
『ちょ、なまえ、見捨てるなって...!サーチもこっちくるな!!』
慌ててPETをみるとサーチマンが問答無用にジェミニマンを狙撃している。
その様子をずっと見ていたアイリスちゃんが少し驚いた様子でこちらを見ている。そうだ、彼女は知らなかった。
「...アイリスちゃんも、内緒だよ」
苦笑いを見せるとアイリスちゃんは頷いた。
ライカはジェミニマン相手にチップを送ろうとしているのを見た時はさすがに止めようと思ったがその前にコジローくんに明日太くんが止めに入っていた。やっぱり男の子同士だと違うのかな。ライカにも友達が増えてよかった。
そう、今私の隣にいる彼女だって、
「ねえ、アイリスちゃんは何者なの?」
「えっ...」
「あ、ちが、どうじゃなくて。よく考えたら私、友達なのにアイリスちゃんのこと何も知らないなって...」
アイリスちゃんが俯いてしまった。やっぱり踏み入りすぎてしまったのか。
友達のことは知りたいと思うが、どこまで踏み入っていいのかわからない。ライカもだが私も友達が少ないからそういうことには疎い。
「無理に答えなくてもいいの。...でも何かあったら言ってね。今ならライカもいるから、手助けできるし」
「ありがとう、なまえちゃん...」
改めて友達っていうとなんだかくすぐったい。でも嬉しい。
PETからはジェミニマンの声が大音量で聞こえてくる。いい加減助けないとまずいようだ。私は今まさにチップを送ったライカに驚きながら彼を止めに入った。