長い長い一日だった。でもよかった。ジェミニマンは帰ってきた。ライカも来てくれた。その後感極まって大泣きした後の記憶がないけれど、それだけでよかった。
目を覚ますと次の日になっていた。今日も学校だと着替えていつも通り朝ごはんを食べようとリビングに行くと、一人増えていた。


「おはよう、なまえ。」

「...なんでライカがいるの...?」


聞くと正体を明かした以上身を隠す理由もなくなって、今日からは通常任務"危険分子の監視"に戻るのだという。つまり今日からシャーロのような生活をニホンでも送ることになるのだ。
おじさんはそれでもいいのか、と聞くと元からそうなる予定だった、と返されて私は一人ぽかんと口を開けた。
つまり、なんだ、


「私、騙されてたの...?」

「仕方ないだろう。お前たちの軍に置いての扱いはお前が思っている以上に慎重なんだから。」


なんて言って一人だけコーヒー飲んで新聞広げているライカはやっぱり同い年には見えなかった。
一人納得のいかない私がテレビに目を向けると、ちょうど市長逮捕のニュースが流れた。きっとみんな耳を疑って困惑するだろう。何より万博の主催者である市長のスキャンダルで万博開催も危ぶまれるのだろうか。
PETを覗くと、妙に静かなジェミニマンが少し可哀想に見えた。



それから数日が経った。
ライカは任務だと言って律義に校門前まで送り迎えする日々にも少し慣れ始めた時だった。


「マッハ先生がしばらく休むって話だけどさ、一体どうしちゃったんだ?」

「あ、それ僕も気になってたッス!!」


放課後、コジローくんと明日太くんとの何気ない雑談の中、マッハ先生の話題になった。


「なまえさんは何か知らないッスか?」

「し、しらない...」


さすがに先生がWWWにいるなんて言えるはずもなく私は曖昧に笑って視線をそらすことしかできなかった。それにコジローくんも明日太くんも先生のことが好きなのは見ててわかる。そんな先生像を壊したくないというのもあったりした。
このまま別の話題に持っていくにはどうすればいいか、と考えていたら
ガタン!!
教室の後ろの扉が勢いよく開いた。見るとどこか焦っているように見えるライカがそこにいた。


「おい、何度も連絡してるのに何故出ない!」

「...え、だってPET鳴ってない」

「ジェミニマン!!」


ライカがPETを私から取り上げ、中のジェミニマンに問いただしている。
ライカからの連絡を私に通知しないでライカに叱られているこの光景自体は普段からよく見るものだからいいのだが、何故ライカが校内に入ってきたのか。いつも校門までしか来てくれないのに。というか警備ロボットたちはどうしたのか。
なんて考えていると突然入ってきた見知らぬ男にコジローくんも明日太くんも困惑している。そういえばまだライカのことは話していなかった。これを機に紹介しようと思ったら急にライカが私の手を掴んだ。


「こんなことをしてる場合じゃないっ。早くここから出るだ!」

「というかお前は誰だ!」

「そんなのは後だ!時間がない!」


ここまで必死になるライカは珍しい。
手を引かれたまま足早に教室を出ようとすると
ガタン!!
また扉が開いた。今度は前の扉。驚いてそちらを確認すると、見覚えのある人たちが立っていた。
ライカが小さく舌打ちしたのが聞こえた。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -