瞼を上げるとそこには赤に青に緑に色とりどりの奴らが俺を見降ろしていた。
『...お前たち、ここでなにしてるんだ』
素直な疑問を口にしたら緑の奴に軽く頭を蹴られた。お前普段そんなことするような奴じゃないよな、無言でライフル構えてくるような奴であっても。
重い体を起こし立ち上がった。少しふらつくが大した問題ではない。
「ジェミニマン!」
『...なまえ』
なまえの声が聞こえた。いつも聞いているはずなのになんだかとても懐かしく感じる。
そうか、色とりどりのこいつ等が俺を助けてくれたんだ。またなまえに会いたいって俺の願いを叶えてくれたんだ。それが純粋に嬉しくて礼を言おうと口を開こうとしたとき、何かがこちらに近づいてくる。三人とも気付いて同じ方を向いた。
『...二人とも、ここは僕たちに任せて早くプラグアウトしてよ』
『今の貴様たちでは足手まといになるだけだ』
ロックマンにブルースも俺とサーチマンの前に出た。二人とも立ち直した俺と何故か一番ダメージを受けているサーチマンを考えて言ってくれたんだろう。
だが俺はそんなこと頼んでいない。だから前の二人を押しのけて更に前に出た。だが当然ブルースに腕を掴まれ、ロックマンにも反対側の腕を掴まれる。
『馬鹿か貴様、そんな体で戦うつもりか!』
『次こそ本当になまえちゃんに会えなくなっちゃうよ!』
『...でもあいつだけは、殴らなくちゃいけない!』
揉める俺たちに構うことなくそいつは姿を現した。
『元気そうだなジェミニマン。では電脳獣を渡してもらおうか』
『カーネル...!』
二人に止められ更には後ろからサーチマンに首を掴まれまた二人の後ろ。だがカーネルは構わず俺だけを見続ける。
『お前がこんなとち狂ったことしなきゃ全部丸く収まったのに...!』
『私は正常だ。正常に任務を遂行しているだけだ。』
『どこがだ!無理して格好つけようったってわかるんだからな!』
そうだ、こいつは無理をしている。任務を遂行するためだとかいらない理由をつけて行動を抑制してるんだ。
カーネルが本気だったのなら、あの時だって、スカイタウンでなまえの前に現れた時だって、
『あの時、本気でなまえを殺しにかからなかったのはお前だろ?!』
一振りで奪える命だったはずだ。なのに躊躇した、怯えるなまえをみて躊躇したのだ。
そこにどんな理由があるのかなんて知らないが、そんな中途半端な奴に俺たちの行動をとやかく言われる筋合いはない。
俺たちは本気だった。コジローを助けたいと思ったのも、アイリスを助けたいと思ったのも、熱斗たちを助けたいと思ったのも 、全部。なのにその事態を計画した張本人は可でも不可でもない中途半端に立った奴。それが許せない。
『本当は何がしたいんだ!俺たちはお前を止めたい、お前は何なんだ!!』
カーネルを表情が少し曇った気がした。だがそれも一瞬、目の前にはブレードを構えたカーネルがいる。
話が通じないのはわかっていた。でもどこかであいつなら、と思ってもいた。
「...ジェミニマン、カーネルを止めよう」
なまえの口が開いた。彼女はこれでも軍に身を置いているんだ、そこに理屈じゃない何かがあるのを感じたんだろう。
だが対立するには覚悟がいる。できればそんなこと知らないでいて欲しかったが、軍に居場所を作った時点でそれも無理な話。
『...ああ』
ならば今はなまえのその決意をくもう。あとは俺が示せばいいんだ。
俺は拘束する三人を振り切りカーネルに飛びかかった。