ジェミニマンのいないPETがメールの着信を伝える。送ってきたのは、マッハ先生だ。
「大事な話がある。いますぐスカイタウンに来てくれないか...」
一人で小さく読み上げるのが虚しい。服の袖で思い切り目をこすった。赤くなったってしらない。とりあえず今はマッハ先生の言うスカイタウンへ向かうことにした。
街から少し離れたところで先生は私のことを待っていた。
「先生、どうしたんです?こんなところで...」
「...なまえ、すまなかった」
先生がいきなり頭を下げてきた。いきなりそんなことされても私にはどうすることができない。いったい何があったのだ。
「君の友達のナビの誘拐、そしてジェミニマン強奪に私は...関わっていたんだ」
先生が何を言っているのかわからなかった。だってあれは、"組織"の仕業なんでしょ、だったら先生は関係ないはずなのに、わけがわからない。
頭を上げた先生は私の目をまっすぐ見つめ、はっきりと言った。
「ブラストマンのオペレーターはこの私だ」
私が編入してきた日、コジローくんをだまし、警備ロボットを操らせたのも、先生の仕業だったのだ。
それはつまり先生が"組織"の人間であるということ。信じられなかった。だってあんなに素敵な先生だったのに。どうしてこんなこと。
「私を怨んでくれてもいい...ただこれだけは伝えたくてここに呼んだんだ...ジェミニマンは今、大穴の中にいる」
セントラルエリアに大きな穴が開いているのは知ってる。ジェミニマンがあの穴の中に飛び込んだというのか。
「あの穴の下にはアンダーグランドと呼ばれる電脳世界が広がっている。電脳獣が長年封印されていた場所だ。もしやジェミニマンの中の電脳獣が何か影響したのかもしれん...」
なんだそんなにジェミニマンのことを気にかけてくれるのか。敵なら、そんなことしない、やっぱり先生は先生なんだ。だから、嘘だと言って先生
「違うんだよ、なまえ。君を少しでも助けることで自分の罪の意識を軽くしようとしているんだ。私は本当に汚い人間だ。」
「...先生、そこまでわかってるなら...!」
「私はまた君と敵対してしまうかもしれない。それが、バレルの意志である限り」
バレルさん。カーネルが関わっているということはオペレーターである彼も関わっていておかしくはない。でも信じたくはなかった。だって前に会った時はあんなに優しくしてくれたのに。
「...でもこれだけは信じてほしい。たとえそれが私の行動と矛盾することであったとしても、私は自分の生徒たちを心の底から愛している。」
先生は最後に私の頭を撫でてその場を後にした。
...きっと、先生には理由があるんだ。なんとなくそんな気がした。だって先生は優しいから、ジェミニマンのことも、バレルさんのことも気にかけてくれたんでしょ。だったら、私、そんな先生が教えてくれたこと無駄にしない。
「アンダーグラウンドに行こう、ジェミニマンを助けに」