とりあえず才葉シティに帰ることにした。
帰り際、みんながすごく謝ってくるのがいたたまれなくなった。なんでみんなが謝るの、関係のないみんなを危険な目にあわせた私が悪いのに。
「...せっかく遊びに来たのに、ごめんね」
これ以上みんなを心配させないために笑って見たが、上手く笑えていただろうか。
帰りのリニアバスは行きよりもずっと長くつまらなく感じた。
セントラルタウンのおじさんの家に着いた頃、PETが鳴っていることに気付いた。いつもならジェミニマンが真っ先に教えてくれるのに、やっぱり私は彼がいなきゃ何もできないのだ。とにかく今はかかってきた電話にでなくちゃ。
「..はい、もしもし」
「お、やっと出た!なまえ、今大変なのことになってるんだよ!」
コジローくんからの電話だった。何か慌ててるようだが、今の私にはどうすることもできない。
「コジローくん、どうしたの?」
「お前今PETの中にジェミニマンいるか?!」
「...それが、いろいろあって、ここにはいないの...」
「や、やっぱり!」
「やっぱり...?どういうこと?」
「とにかく、テレビ!ニュースみてみろ!」
コジローくんに言われた通りテレビをつけてチャンネルを回す。いつもおじさんが見ているニュース番組で止めると、画面いっぱいに映しだされるジェミニマン姿。これはあのCMではない。
司会者さんは確かにこう言った、ナビが現実世界で大暴れしている、と。
「コジローくん、私いかなくちゃ...」
電話を一方的に切った。
ニュースに映る映像は、きっとシーサイドタウン。それにジェミニマンはいくらすごいナビだって言ったってそれは電脳世界だけの話、現実世界にいるということはきっとコピーロイド。
とにかく止めに行かなくちゃ。今度は私が、ジェミニマンを助けるの。