これで何度目になるのかウラインターネット。来るたび次は来るもんかと思っていたが、あいつ等はそんなこと知らないんだろうな。
そんなウラインターネットの最奥に見えた見覚えのある二体のナビ。その後ろにはロールたちの姿。
『クォォォォ、きたなジェミニマン!』
『来てやったんだから、早くみんなを開放するんだ!』
『そう言われてやすやすと手放すと思うであーるか?』
やはりこいつらには話は通じないか、ここは力づくでいくしかないようだ。まあその方がわかりやすい上に俺の得意分野だ。
望むところだ、と意気込んで声を発そうとしたら、誰かが上にかぶせてきた。
『かかったな、ジェミニマン!フルルッフゥーッ!!』
なんなんだ次から次へと、声のした後ろを振り返るとそこにはサーカスマンがいた。
ここまで来て俺は自覚する。これは罠だ。こいつ等は"組織"で、"組織"はこのサーカスマンが捕まえた電脳獣は別のもう一体の電脳獣を欲しがっている。
「まったく作戦通りじゃないの」
「サーカスマンのオペレーター!...作戦ってなんのことっ?」
「...決まってるじゃない、ジェミニマンの中に眠る電脳獣の力をジェミニマンごと、ごっそりいただいちゃおうって作戦よ」
つまり俺だ。電脳獣が俺から引き抜けないのなら俺ごと電脳獣を捕まえようってことだ。
あいつらを守りながらこいつら三体を一気に相手にするのは正直つらい。だが弱音を吐いてはいけない。無理だとわかっていても今はやらなければいけない時だ。
「だいたいあんたわかりやすいのよ。仲間を人質にとったら後先考えず突っ込んでくるなんて...こうなることぐらいちょっとは考えなさいよ、作戦を立てる張り合いがなくなっちゃうわ!アハハッ!」
さすが悪党やることがきたない。だがそれを口にしてもこういう奴はそれを褒め言葉として受け取るんだろう。
『フルルッフゥーッ!!』
なんて悠長なこと考えてる場合じゃない。サーカスマン腹部の扉を開帳した。中は真っ暗、そこからバキュームのような強い風が俺の体を引きづり込もうとする。どれだけ踏ん張っても無駄な抵抗、だめだ、このままでは、
『...すいよせ、られる...!』
片足が地面から離れた瞬間、頭が真っ白になった。踏ん張りのきかなくなった体が一気に宙に浮いた。待ち受けるのは扉の向こうの真っ暗な空間。
『ウワァァァァッ!!』
柄にもない叫び声だけが響いて、俺の意識は完全に落ちた。