いつもより長くリニアバスを乗った。途中でいろんな電車を乗り継いで、ようやくここまできた。
「...なまえ!」
電車を降りて改札を抜けると、見覚えのある友人たちの姿、熱斗くんにメイルちゃんにやいとちゃんにデカオくんがあった。なんだか無性にうれしくなって何から喋ったらいいのかわからなくなってしまう。ただこれだけはちゃんと声にした。
「ひ、ひさしぶり、みんな...」
するとみんな私の手を引いて近くの公園まで引っ張ってきた。そこで感極まった
メイルちゃんに抱きつかれるなど、ちょっと恥ずかしかったけどみんなが私のこと忘れないでいてくれたのが嬉しくて仕方ない。
それから私たちはいろんな話をした。才葉シディのこと、学校や友達のこと、秋原町のこと、みんなの通う秋原小のこと、聞いてほしいことや聞きたいことがありすぎて、時間があっという間に過ぎていった。
「なまえ!俺とネットバトルしようぜ!」
そう言いだしたのは熱斗くんだ。ジェミニマンもロックマンと対戦したがっていたからいいかもしれない。
『よし、受けてたつぜ!』
そう言って勝手に近くの電脳に行ってしまったジェミニマン。止める気もなかったので、このまま熱斗くんとの対戦に望むことにした。
やいとちゃん、デカオくん、メイルちゃんにグライド、ガッツマン、ロールはこの対戦の立ち会い人。数が少なくてもギャラリーがいる中、ジェミニマンが手を抜くはずがない。
ジェミニマンの前にはロックマンが立っている。彼もジェミニマンとの対戦を楽しみにしていたのかどこか嬉しそうだ。
「手加減なしだぜ、なまえ」
「熱斗くんこそ、本気できてよね」
「「バトルオペレーション、セット!」」
『『イン!!』』
さっそくチップを送ろうとした時、異変が起きた。
PET画面がいきなり明転し、電脳世界の様子がこちらからわからなくなってしまったのだ。画面が普及すると、そこにはナビが二体立っていた。見覚えのあるナビ、彼等は、
『ブラストマン、それにダイブマン!!』
彼等は立ち会い人としてそこにいたガッツマン、グライド、ロールを捕まえジェミニマンとロックマンの前に立っていた。そういえばロックマンたちにとって彼等は初対面、だがそんな説明している暇はない。
『クォォォ...久しぶりだな』
『あのときの恨み、晴らしにきたであーる』
それにしてもどうして彼等がこの秋原エリアにいるのか、そんな疑問を抱いているともう聞くこともないと思っていたこえが回線に入ってきた。
「セントラルタウンからお前のことつけてきたんだよ!!」
「く、クロヒゲ!」
「何かチャンスがないかと窺っていたら、貴様の弱そうな仲間たちが現れやがった!」
「みんなをどうするつもりなの!」
「決まってるだろ!...人質だ!」
人質だって、彼等は私たちに何を求めてるというのだ。
ジェミニマンが隙を窺いながら一歩踏み出そうとした時、ブラストマンが目ざとく見つけ睨みつけた。
『動くんじゃないぜ、大人しくしてないとこいつ等をケシズミにしちまうぜ。返してほしければ...ウラインターネットまで来るんだな!』
そう言ってどこかへ消えてしまった。
また私がトラブルを持ちこんでしまった。つけられていた、自分の立場をきちんと理解して行動を抑制していればこんなことにはならなかった。これがフードの男が行っていた"判断の甘さ"なのだ。
『なまえいくぞ!』
「で、でも...」
『今ロールたちを助けられるのは俺かロックだ。だがあいつ等の言うウラインターネットは才葉シティの電脳だ。...答えは決まってるだろ?』
結局私たちが行くしかないのだ。そうだ、私の判断が甘くたって、彼等は大事な友人を危険にさらしたのだ。もう一回ぐらい痛い目を見てもらってもいいんじゃないのか。
強く頷いて見せた。そうこなくちゃな、とその答えを待っていたようにジェミニマンが笑った。