ウラインターネットにあると言われる"月の石"を持ち帰ってきたのもが勝者というわけだ。またあんな薄暗いところに行かなくちゃいけないのか、と思うと気が進まないがこれも俺がオペレーターナビになるためだ。
ウラインターネットの奥地に足を踏み入れると、見知らぬナビたちが俺の行く手を塞いだ。
『...きたな。』
『お前らたち...!』
『電脳獣の力をその体に宿す者、だな?...我々は電脳獣を崇める者。』
先日俺の中の電脳獣を呼び起こして散々迷惑かけたあいつらの仲間か。あのときのようにならないために俺は早々にレーザー砲を構えた。
『やはり"教祖様"の教えの通りの場所にお前が現れた...我らの"教祖様"は偉大だ』
ますます宗教じみてきた。
その"教祖様"は俺がここにくることを知っていたのか、でも何故、というかそれは誰なんだ。
『教祖様の導きに従い、今一度、お前の中にある電脳獣を呼び起こさせてもらう...』
『なっ、そう何度も何度も...!』
「バトルチップ、トルネード!スロットイン!」
送られてきたチップが奴らに竜巻攻撃をしかけた。突然現れた竜巻に奴らは手も足も出ない。
『も、もう少しで電脳獣が...』
なす術なくプラグアウトする奴らの姿を俺はただ見ていただけだった。
『ありがとうなまえ、助かった』
「今度はちゃんと助けられた、よね」
『ああ。...さあ、早く月の石を探しに行こう。』
なまえのお陰で事なきを得た。体にこれといって変化はみられない。
更に奥まで進むと、ウラインターネットの暗がりの中で一段と光るものを見つけた。その輝きに目を奪われたが、すぐに我に返る。
『...これだっ』
それを手にすると、電脳世界らしいオブジェのような形をしていた。先端には今でも光を放つ綺麗な石がはめ込まれている。これだ、これに違いない、これが月の石なのだ。今俺がこれを手にしているということは、そういうことでいいのだろうか。
『なまえ...!』
「うん、ジェミニマンで決定だね!」
その事実が恥ずかしいのか笑う姿が少しぎこちないが、なまえも嬉しいに違いない。
こうして俺は念願のオペレーターナビの座を手に入れることが出来たのだった。