スカイタウンに向かうエレベーターの扉が開いたと同時に駆け出す。アイリスちゃんは大丈夫なのだろうか。
「アイリスちゃんがいたのって、この辺りだったよね...」
もっと奥に行ってしまったのかもしれない。でもどうしてこんなところに来たのか、それはあとで聞くとしよう。
もっと奥を探そうと前を向くと、遠くに人影が見えた。だがアイリスちゃんじゃない。あれは大人の影だ。影は建物の中に逃げるように消えていった。
まずい、あの正体のわからない大人にアイリスちゃんがみつかったら何されるかわからない、はやく行かないと。
「...あれ、アイリスちゃんは?」
だが建物に入ると、アイリスちゃんの姿も大人の姿も見えない。
ガタン、ガタン!!
何の音かと耳を澄ますと、部屋に設置されたロッカーから聞こえてきている。
ガタン、ガタン!!
音は止むことない。これは危険だが、音のするロッカーを調べるしかないようだ。
ガタン、ガタン!!
ロッカーの前に立つ。怖いけれど、開けなくちゃもっと怖い。
どうにでもなれ、と私はロッカーを思い切り開けた。
すると中から見知らぬ人が飛び出してきた。驚いて後ろに下がったが、よくみるとこの人はさきほどニュースに出ていたスカイタウン管理局の人だ。どうしてこんなロッカーの中にいたのだろう。
「あ、あの、大丈夫ですか...?」
「わ、私のことはいいから、それよりフォースプログラムを...。奴らの狙いはきっとフォースプログラムだ...!」
フォースプログラムは自然界の力を増幅することができ、スカイタウンはその力でさまざまな天候をつくりだしていたのだ。さらにスカイタウンはフォースプログラムを使って発電した電気で動いていて、フォースプログラムがなくなったらスカイタウンは地上に落下してしまう...
「...落下?!」
『おい、こんなことしてる場合じゃないぞ!そのフォースプログラムを守らないと俺たちも落ちることになる!』
管理局の人は私たちにフォースプログラムのことを教えて気を失ってしまった。こうなっては私たちがどうにかするしかない。
スカイタウンの中心的システムがある場所と言えば、ウェザーくんだ。なんたってスカイタウンのメインシステムなのだから。
「...あれ」
『どうしたなまえ!』
「ウェザーくんの部屋に続く道って、ここだったよね...」
『ああ、だから早くいく、んだ...』
昨日まであったはずの橋がなくなっていた。
どうしよう、ここしか道はなかったはずだ。何かないかと考えるが、私がここを飛び越えるという選択肢しか浮かばない。
『そんなことしてみろ!地上にまっさかさまだぞ!!』
ジェミニマンの言うとおり、橋がなくなったところを覗けば白い雲と青い空しか見えない。昨日はあんなに楽しかったのに、今はちっとも楽しくない。
他に方法はないのか、私は後ろを振り返った。
コピーロイドはそこにあった。まるで最初からそこに置いてあったかのように。
『あれ使って、俺がなまえ抱えてここを飛べばいいんだな』
私はまだ何も言ってないのに彼は急かしてくる。だが今は彼の言う通りにするしかない。
すぐにそれに近づいた。ジェミニマンを送り込めば、すぐに姿を変え彼自身に変わる。
『しっかりとつかまってろ...!』
「え、ま、まだ心の準備が、できてないっ」
すぐさま私を横に抱え走りだした。
そこにはジェミニマンが空を飛んだ浮遊感と私の絶叫だけがあった。