六法はなまえの大事なものを傷つけようとした。おじさん、コジローやアイリス、この街で出会ったみんなのことを。なまえにはそれが許せなかった。傷の痛みを知っているからこそ、守りたいのだ。
昔、今よりも角張ってた誰かさんに"甘い"なんて言われたが、なまえは"甘くたっていい"とはっきり言った。甘くなることでみんなを守れるならそれでいいと。今よりも気弱だったなまえが一番大事なものを見つける前の話だ。
ジャッジマンを難なく倒し、奥のメインパネルの前に立った。
どれが、どれを、なにすれば、とまるのか
『あった、これだ!緊急停止ボタン!』
するとすぐに電脳内に緊急事態を知らせる声が電脳内に響き渡る。
『キンキュウ ジタイノ タメ シンパンノ キ ノ カツドウ ヲ テイシシマス!』
いてもたってもいられなくなったなまえは急いでおじさんのいるお仕置き部屋に向かった。なんとか間に合ったみたいでおじさんは無事だった。でも、刑の執行まであと一分を切ってたらしくかなりギリギリだったそうだ。本当に、間に合ってよかった...
それからこの事件の犯人である検事六法はというと、駆け付けたネットポリスに大人しく捕まった。取り調べでは何も喋らず黙秘を続けてるらしい。
それと、この事件に大きくかかわった審判の木は調査された結果、検事六法の手によって、かなりの改造がくわえられていたことがわかった。元に戻すのは相当大変だったみたいだが、数日後に裁判活動を再開できるようになったそうだ。
活動再開後の一番最初の仕事は、六法サトルの裁判だった。
後から聞いた話、審判の木のシステムを考えたのは彼だったそうだ。つまり、検事六法は自分で考えた裁判システムで、自分自身が裁かれることになった。
大人がみたら、こんなふうに言うんじゃないかと思う。
「なんて、皮肉なんだ」ってな。
『なまえ、メールがきてるぞ!』
騒動もひと段落したある日、俺たちは今日家でよっくりとテレビを眺めている。チャンネルを回したどり着いたのは"ウェザーくんのお天気予告"。何気なしに見ているとメールが着信する。...このメールは、
「何のメール?」
『...聞いて驚くなよ...』
「...?」
『オペレーターナビ、第二次選考会の通知だ!』
ついにこの時が来た。この街で俺が目立てる機会がようやくめぐってきたのだ。気持ちが高鳴り勝手に一人でメールを読んでいるとなまえが不満げにしているのに気付いた。ああ、すまない、本当にうれしくて
『このたび、万博パビリオンのオペレーターナビ、第二次選考会をスカイタウンにて行うことになりました。第二次選考会に参加される方は、スカイタウンにお集まりください。だってさ!』
スカイタウン、この街の天気をコントロールしてるところだ。だから先程見ていた番組もお天気"予報"ではなく"予告"。はずすことはまずないのだろう、本当に便利になったものだ。
そんなことよりなまえ、はやくスカイタウンに行こう!俺は早く目立ちたいんだ!
全面に押し出しなまえに訴えると苦笑いをしながら出かける支度をはじめてくれた。
「今度は勝手に行かないでね。今ジェミニマンのオペレーターしてるのは私なんだから」
なんて釘を打たれたので次からは事前申告を忘れないようにしようと思った。