グリーンタウンのシンボル"審判の木"によってキャプテン・クロヒゲは裁かれた。彼はこれからお仕置き部屋で一生を過ごすことになるのだろう。
木が、というより機械が人を裁くことにも驚いたが、検事の六法さんの姿が強く印象に残った。正義感の塊のようなまっすぐな人、すごくかっこよく思えた。


「私もあんなかっこいい大人になりたいな」

『なれるさ。今からだったらなんにでもな。』


というわけで裁判は無事終了。私の証言が役に立ったのかはわからないけれど、六法さんにはすごく助かったと言われた。その六法さんは次の裁判の準備があるからと先に行ってしまった。私も滅多に来られない裁判所を一通り見学してから帰ることにした。帰ったら今日始めて裁判所に行ったこと、証人をしたこと、全部聞いてもらおう。

なんて熱が冷めきらぬままリニアバス乗り場に向かっていると、前から団体が歩いてくる。周りの人がその団体に道を開けているのを見て、私も道の端によって団体が通り過ぎるのを待っていた。
私の前を通り過ぎる人の波の真ん中、見覚えのある、いつも家で私の帰るを待っていてくれる、その人が見えて、私は目を見開いた


「おじさん!!」


私はなりふり構わずおじさんに駆け寄った。だが伸ばした手はおじさんに届く前に止められてしまう。そんな私を見たおじさんは驚いた様子で私を見た。驚いているのはこっちも同じだ。なぜおじさんがグリーンタウンに、しかもこんな大人数にかこまれているのか。これじゃまるで、何か悪いことをしたみたいじゃないか。


「彼の関係者ですか?」

「...あ、ホームステイで、お世話になってて...」


私に話しかけてきた人、よく見れば警察官だ。それを見て急に怖くなって、俯いてしまう。警察の人はそれを気にもとめず淡々と話し始めた。


「彼は一昨日の四時、この街の裁判システムにハッキングした容疑がかけられています。今から彼は裁判を受けることになります。」


裁判システムにハッキングって、あの"審判の木"にハッキングしたのか、おじさんが。どうしてそんなこと、私にはその理由がわからない。それにおじさんは家でも仕事してるような真面目な人だ。でもそれを言ったってそれがおじさんの無罪を証明するわけではない。どうすれば、どうすれば、いいのか、
考えている間にもおじさんは警察の人たちに連れられて裁判所の方へ向かっていく。追いかけたって今の私では何もできない、なにか、おじさんのアリバイを証明しなければ、信じてくれない。


『だったら今からアリバイ探せばいいじゃないか!』

「探すって言ったって、なにを探せば...」

『警察が言ってただろ?一昨日の午後四時のアリバイだよ、俺たちはその時どこにいた?』

「...。...一昨日は、学校からまっすぐ帰って、家にはおじさんがいた!」

『きっとその時なにか仕事してたに違いない。とりあえず帰ってその履歴を探すんだ!』


早くしなければおじさんの裁判の結果がでて、罰も決まってしまうかもしれない。そうなる前におじさんを助けなければ。私はリニアバスに飛び乗って家へ急いだ。

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