オペレーターナビの予選も突破して上機嫌のところにメールが着信した。水族館の館長からだ。
『どうもこんんちはご無沙汰しております。このたびは先日の水族館襲撃事件の犯人、キャプテン。クロヒゲの刑事裁判が行なわれることになりました。そこで事件を解決したなまえさんに、証人として裁判に出席していただきたいのです。』
「...え、あ、し、しょうにん...?」
『裁判は今日の午後からを予定しております。場所はグリーンタウンの裁判所です。急なお話ですが、よろしくお願いします。...だってさ』
「な、なにすれば、いいの、しょうにんって...」
『とりあえず落ち着いて、裁判の行われるグリーンタウンて街にいかなきゃな。』
がっちがちに緊張したなまえは俺の言ったルートを歩きリニアバス乗り場までたどり着いたが、今からこんな緊張してて大丈夫なのか。リニアバスに乗って俺が気を利かせていろんな話してもなまえの返事は全部上の空。そのままグリーンタウンに降りたが、こんな状態で裁判なんていったらこいつは本番じゃもっと大変なことになる。
『ほらなまえ、周り見ろって。』
「...。」
『緑ばっかりだぞ。シャーロ帰ったら二度と見れないぞ。』
「...。...ほんとだ」
『だろ?景色見ながら裁判所に向かえば少しは落ち着くさ』
観光してる暇はないけどゆっくり行くぐらいだったら裁判には間に合うはずだ。途中の花屋とか見ながらうまい空気吸って裁判所に向かううち、だんだんと普段の落ち着きを取り戻してきたなまえ。よかった、これで一安心、
「...待て」
させてはくれなかった。誰かがなまえを呼び止めたのだ。呼ばれたことに気付いたなまえが振り返ればそこに立っていたのは、多分男。多分と言うのは帽子を目深にかぶり更にはフードまでかぶってて顔がよく見えないから。そいつは止まったなまえに近づいてくる。なにをするつもりだ、事と次第によっては俺が介入してでも止めてやる。
「なまえ、それ以上先に進むんじゃない」
「なんで、名前...」
「お前は何も気にせず家にいればいいんだ」
「...よくわからないけど、私これから大事な用事があるから、帰れないの」
『いくぞなまえ』
「あ、うん」
一刻も早く正体不明のフード男からなまえを引き離したかった。見るからに怪しい奴、なにをしでかすかわからない、危険だ。だが今のフード男に会ったおかげでなまえは完全に自分を取り戻した。
裁判所と思われる大きな建物を見つけると、なまえはそこに逃げ込むように走りだした。