なまえが勢いよく跳び起きた。だが目は今にも閉じそうで、まだ寝ぼけているみたいだ。目をこすって必死に目を覚まそうとしているが、その手が止まった。


「...。...ジェミニマン」


今までの出来事を一気に思い出したなまえは今度はベットから飛び降りた。バタバタと慌てて探しているのはきっとPET。よく思い出せって、お前はいつもどこにPET置いて寝るんだ。
部屋を一通り探してベットに戻ってきたなまえがようやっと枕元に置いてあったPETを見つけ手に取った。もちろんそこには俺がいるわけで。


『おはよう、なまえ』

「...。...。」


いつもみたいに軽く挨拶したらなまえは目を丸くさせた。まあ、記憶にはないが散々心配させたんだと思う。いつも通りの俺に驚いているんだ。


『なまえの声が助けてくれたんだぞ』


電脳獣がブラックボックスで暴れ回る度、痛くてどうしようもなくて何度も意識を手放して楽になろうとした。でそんな時引き留めてくれたのはなまえだった。なまえが俺の名前を呼んでくれたから、俺はそのたび思い出した。今ここで楽になったら、なまえに二度と会えなくなる。消える覚悟で挑んだが、我慢してなまえに会えるならまた会いたい。


『ありがとうなまえ』


ありったけの感謝の気持ちを込めてなまえに伝えた。そしたらPETの向こう側のなまえの目が潤みだす。そのうちぼろぼろと涙を零し始める。


「...っ、...お、おかえ、り...!」


泣きながら笑うなまえの顔は変だった。けどくれた言葉で俺は満たされる。俺はまだ、なまえと一緒にいられる。


『ただいま』


それがうれしくてたまらない。

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