『フルルッフゥー!!やーっぱりきたね!』
どこからか声が聞こえてきた。その物言いからサーチマンがここに来ることを予想していたのだろう。無言のまま銃を構えるサーチマン。そこに現れたのは大きな体に宙に浮く四つの手、その姿はサーカスの大きなテントを彷彿させた。
『僕たちの計画を成功させるためにはあのナビに生きていてもらっては困るんだよね!』
生きていちゃ困るって、もしかしてジェミニマンのことを言っているのだろうか。そんな身勝手な理由で彼を殺そうなんて、させる訳ないじゃないか。
『電脳獣のチカラは僕たちだけのものだよ!』
電脳獣のチカラ?そういえば電脳獣は二体いたはず、ジェミニマンが取り込んだのはオオカミの形をしていた電脳獣。伝説にはもう一体、トリの形をした電脳獣がいたはずだ。それがあの時いなかった、ということはジェミニマンと同じように誰かが自らに取り込んだということなのだろうか。このナビが、彼と同じように、電脳獣を取り込んだというのか。
『なまえ様指示を。今あなたがするべきは奴を助けること、です。』
「...うん、考えるのはあとでにする。いくよサーチマン」
『了解』
フルルッフゥー!!という掛け声とともに腹部の扉を開くと中からウイルスが大量に襲いかかってきた。
サーチマンの言うとおり私が優先するべきことはジェミニマンに癒しの水を届けること。こんなナビに時間をとられてはいけない。一体づつ確実に撃ち抜いていくサーチマン、でもそれではキリがない、一気に倒せるれば、
「バトルチップ、プリズム!スロットイン!」
これだと言わんばかりにチップを送る。サーチマンの手の中に少し大きめの綺麗な宝石が現れた。その宝石の意味を汲み取ってくれたサーチマンはそれを相手の頭上に思い切り投げいれ、スコープガンで撃ち抜いた。宝石が強く輝きだした瞬間、スコープガンが相手に降り注いだ。ウイルスというウイルスを撃ち抜き、攻撃が止んだ頃には本体だけが残る状況となった。
『あとはお前だけだが』
『...やるじゃない!お、おぼえていろ!!』
ありきたりな捨て台詞と共にナビはプラグアウトして消えてしまう。とにかくこれで一安心、というわけにもいかない。手に入れた癒しの水をジェミニマンに届けるまでは一瞬たりとも気は抜けない。
サーチマンは私のパソコンに戻る最短距離を走りだした。