セントラルエリアでの電脳獣騒動は解決した。ジェミニマンというナビの犠牲を孕んで。科学者であるおじさんのお陰で彼は一命を取り留めることができたが、未だ私のPCの向こうで苦しむジェミニマン、油断は許されない。こんな状態が続けば本当に彼は、いなくなってしまう。いやだ、それはいやだ。でもどうすればいいのだ。今の私には、彼を助けることなんてできない。

ジェミニマンのいないPETがメールの着信を知らせる。...アイリスちゃんからだった。


「インターネット・シーサイドエリアに"癒しの水と"呼ばれるナビを回復させる電脳水が湧いてる。その水を使えば電脳獣を弱らせることができるかもしれない...」


それだ、それがあればジェミニマンを助けることが出来るかもしれない。勢いでPCの前から立ち上がってしまったが、一つ疑問が過る。どうしてアイリスちゃんが彼の状態を知っているのか。でもいまはそんなことを気にしている時ではない。あとはどうやってインターネットにある"癒しの水"をとりにいくか、という問題だ。ナビもいないのにどうやって行けばいいのだろうか。
PCに視線を戻せば苦しげに声を上げるジェミニマン。どうすれば、どうすればいいのだ。

PCに取り付けている小さなスピーカーから訪問者を知らせる音が鳴る。こんなときに誰だろう、と思いロックを解除して訪問者を迎え入れた


『...なまえ様、これはどういう...』


緑に橙の髪。彼は倒れ込むジェミニマンを見て戸惑いながら私に聞いた。一方の私は突然の彼の訪問に目を丸くしていた。同時に思いつく、これしかないと。


「サーチマン、詳しい話はあとでするから私の言う通りにしてほしいの」

『...。』

「後で始末書でも説教でもなんでも受けるから、お願い。ジェミニマンを助けたいの...!」


サーチマンが黙りこんだ。やっぱり突然こんなこと言ったから戸惑っているのかもしれない。それにかれの相棒兼上官はライカだ。私の言うことを聞き入れなくてもいいのだ。ずっと黙りこんでいたサーチマンが顔を上げた。


『ライカ様からこう言われています』

「...っ。」

『"なまえのためなら力を惜しむな"と』


サーチマンが少し笑ってくれた。アイリスがくれたメールの内容をサーチマンに言うと、こちらのインターネットに来たばかりだというのに、すぐさまシーサイドタウンに向かってくれた。
待っててね、ジェミニマン。サーチマンと一緒に癒しの水とりにいって、助けるから。

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