そのあと、キャプテン・クロヒゲは駆け付けたネットポリスに連行されていった。あいつが口走ってた"組織"ってなんなのか気になるけど、その辺はネットポリスがしっかり事情聴取すると思う。
一方なまえたちはというと、事件でメチャクチャになった水族館の後片付けを手伝ったりしていた。
そして、その間もギンジローは決してコジローから離れようとはしなかった。


「改めてこのたびは本当にありがとうございました。」

「いえ、怪我人もいなかったからよかったです」

「もうご存じかかと思いますが、あのキャプテン・クロヒゲを名乗っていた男は、もともと当水族館でショーのトレーナーをやっておりました。しかし動物の扱いが極めてひどいものでして...。ギンジローが逃げ出したのもあの男を怖がったからかもしれません」


あの男、見た目通り中身も横暴だったようだ。クビになった腹いせに組織とやらの力を借りて仕返ししにきたのか。まあクロヒゲ自身も今まで散々な扱いをしてきた動物たちから仕返しをくらったのだ。ざまあみやがれってんだ。

太陽はもうほとんど沈んで暗くなっている。俺やコジローのナビが家の人に遅くなる旨を伝えては来たが、そろそろ帰らなくてはいけないだろう。
コジローを見ると、相変わらずギンジローにべったりとくっつかれている。さてコジローはどうするか。


「なまえ」

「ん?」

「走る準備しておけ」

「...え?」


そう言うとどこか別の方を向いて指を指して大声を出した。


「あれー?!あそこにいるのはキャプテン・クロヒゲ!!もう逃げ出して来たのかー?!」


クロヒゲの名前を聞いたギンジローがピタリと止まった。そして館長の後ろに逃げるように隠れてしまった。ああ、こうしたかコジロー。
ギンジローがこちらを見ていないのを確認してコジローはなまえの手を引いてリニアバスに飛び乗った。

もしかしたらあんな別れ方をしてギンジローは泣いてるかもしれない。だが寂しい思いをしているのはコジローも同じだ。あんな威勢を張っているが本当は寂しいに決まってる。


「...また来ようね、コジローくん。ギンジローに会いに水族館に!」

「...そうだな。...めんどくさいけど、きてやるか!」


リニアバスで二人は笑っていた。明日もまた学校でそんなふうに笑っていたくれることを俺は願う。

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