教室まで全力で走った。廊下を走っている時に廊下は走るな!と聞こえたような気がしたが今はそれどころではない。編入二日目で遅刻するなんて冗談じゃない。このことが本国に知れたら帰った時ライカにこっぴどく叱られるのはジェミニマンだけじゃなくて私も一緒だ。それだけはなんとしてでも避けたい。
もうすぐ教室だ。その時、


「なまえー!!」


マッハ先生の大きな声が廊下にまで聞こえてきた。これは出席をとっているのではないか?最後の力を振り絞ってラストスパートをかける。そして教室の扉を思い切り開けた。


「はい!なまえ異常はありません!!」


右手を上げ背筋を伸ばし声を張り上げた。
これで遅刻は免れこっぴどく叱られることもなくなった。のだが、教室が静まり返っているのは気のせいだろうか。


『なまえ。この国は"はい"って返事するだけで出席したことなるんだぞ』


PETからの声に私はまたやらかしたのだと自覚した。しかもみんなんの前で。恥ずかしくて仕方ない、顔に熱が集まってくるのは走ったからだけではない。
そんな私の気も知らないで教室は一転笑い声に包まれる。先生も一緒に笑いながら私に席に着くように指示した。
...あれ?前の席のコジローくんがいない。


「コジローはまた遅刻か...あいつの寝坊はいつまでたっても直らんなぁ...」


コジローくんは遅刻の常習犯なのか。と未だ荒い息を整えていると廊下からドタドタと大きな足音が聞こえてくる。私が走って来たときもこんなだったのだろうか。すると私と同じように思い切り扉を開けてコジローくんが入ってきた。本当だ、とにかく本人の姿を見れば出席としてくれるのだろう。というか、コジローくんが連れているのは


「...コジロー、その後ろのものは何だ?!」

「...うしろ?」


気が付いていないコジローくんが先生に指摘されゆっくり後ろを振り返る。そこにいたのは


「...うわ!!なんだこれ?!」


ペンギンだ。いくら無知だ無知だと言われている私だって知っている。

身に覚えのないペンギンをコジローくんは必死に教室から追い出そうとするがそのたびコジローくんの後をつけて教室に戻ってくる。なんだかみててかわいい。
でも何かしなければペンギンがコジローくんのあとをくっついてくるはずがない。先生がコジローくんを問いただすと彼は、


「...あ、こいつ昨日エサをあげためずらしいハトだ!」


目の前のペンギンをハトだと言い始めた。


「...コジロー。それはハトじゃない、ペンギンだぞ!」


マッハ先生がコジローくんを正そうとするがまた彼は、


「...へぇ。これがペリカンか」


全く人の話を聞いていなかった。
息を整えようとはこうとしていた息でため息をつく。PETからは彼を指さしながら笑う声が聞こえてきた。

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