『なまえ、おもしろい話聞いてきたぜ!』
PETに帰ってきたジェミニマンが楽しそうに話しだす。
「電脳獣の伝説?」
『ああ!セントラルエリアの奥に銅像も建ってたんだ!』
その昔、インターネットに恐るべき力をもった二体のケモノがいた
二体のケモノは決して相通ずることなく、何度も衝突を繰り返していた
二体の衝突は凄まじく、そのたびびインターネットの地形が変わったといわれている
人々は二体のケモノを恐れをこめて、こう呼んだ
電脳獣と
「...それが電脳獣?」
『そう。で、その電脳獣が作ったって大穴も近くにあるんだと。』
「ジェミニマンはもう見てきたの?」
『いや、話を聞いただけだ。...今から見に行ってみるか?』
「...うん、行く!」
一体はオオカミのような姿をしていた
電脳獣グレイガ
その雄叫びはインターネット全土を揺るがし、大きな牙であらゆるナビをかみ砕いた
もう一体は大きな翼をもったとりのような姿をしていた
電脳獣ファルザー
その羽ばたきはインターネットのあらゆるものを吹き飛ばし鋭い爪であらゆるプログラムを切り裂いた
「その大穴ってやっぱり電脳獣が戦ったから出来たの?」
『みたいだな。なんでも二体が最後に戦ったのがこのセントラルエリアなんだとさ。』
「...才葉シティって本当は怖い場所だったんだね」
『確かにな...。シャーロじゃ大した伝説もないしな。』
ここは電脳世界を恐怖に陥れた二体の電脳獣が最後に戦った場所である
中央の巨大な穴は二体の電脳獣がぶつかり合った衝撃で生まれたものである
穴の底はアンダーグラウンドと呼ばれ、今もなお電脳獣が眠っていると言われている
「...シャーロか、ライカ元気かな」
『まだ一日しか経ってないのにもうホームシックか?メールでもすればいいじゃないか』
「才葉シティはセキュリティが頑丈だから普通の回線じゃメールできないし受け取れないんだ、っておじさんが言ってたの」
『...。...なんなら俺が直接サーチまで持ってくけど』
「いざって時まで取っておいてもいいかな...」
『ああ。...じゃあ今日はこれぐらいにしてもう寝るか?』
「うん明日も学校だからね」
『あんな騒ぎあったのに平気なんだなあの学校は』
「最先端技術の街だからね。...じゃあ、おやすみジェミニマン」
『おやすみなまえ』
部屋の電気を消して布団に入る。枕元に置いたPETも少ししてから照明が落ちた。